ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

チャイコフスキーコンクール2

 6月16日からモスクワで行われていた「第15回チャイコフスキーコンクール」はモスクワ時間の昨晩7時(日本時間深夜1時)より結果が発表されました。
 どの部門も白熱したレヴェルの高い演奏が繰り広げられて目が離せず、夜中にライブを観ることになり、体内時計がモスクワ時間になってしまい連日の寝不足…夕べもピアノ部門の結果が発表されたのは2時半過ぎで、寝不足が更に深刻化することになってしまいました。(明日から健全な生活をします…)

 ピアノ部門の結果は1位がロシアのマスレーエフ、2位がロシア(リトアニア)のゲニューシャスとアメリカのリー、3位が16歳のハリトーノフと私が応援していたレトキン(いずれもロシア)、4位がフランスのデュバルグでした。
 優勝したマスレーエフは演奏順の通し番号が一番最後だったため、いつも日本時間の朝方になってしまい、あまり聴いていませんでした。2次予選だけアーカイブで聴いたのですが、テクニックの強さが前面に出ていてあまり印象に残りませんでした。ファイナルはまだ聴いていないのですが、コンクール前に母親を亡くしたという情報も入ってきていましたので、極度のプレッシャーに精神的ダメージが加わって逆に大きな力が出たのかも知れません。これからゆっくりファイナルを聴きます。
 
 同じロシアのレトキンはたまたまお休みだった日に1次予選をずっと聴いていて「この人いいな」と思って前の「チャイコフスキーコンクール」の記事の中で触れましたが、順調に2度の予選を通過してファイナルに進みました。特に1次のチャイコフスキーの作品72の小品と2次のプロコフィエフの8番のソナタが印象に残って応援することに決め、ファイナルは一番最初だったのでもちろんライブで聴きました。特にプロコフィエフの2番のコンチェルトはちょうど自分が勉強していたということもあって(手の怪我で中断していましたが、これから再開します)応援に更に力が入ってしまった。4人のロシア人ファイナリストの中で彼だけがペテルブルグ音楽院の出身で、他のモスクワ音楽院勢(ハリトーノフはまだモスクワ音楽院附属中央音楽学校の生徒)とは雰囲気的にちょっと違うものがあったように思えます。

 ゲニューシャスはコンクール前から優勝候補の呼び声が高く、どの時代の曲も高いレヴェルで弾きこなしていました。(一番印象に残ったのは1次予選のチャイコフスキーの「ロマンス」)モーツァルトのコンチェルトは若干整いすぎていると私には思えたのですが、万人が高得点をつけるのは彼だろうと思っていました。彼の最高位を予想していた人は多かったと思います。

 デュバルグは2次予選の「夜のガスパール」が圧巻だったので、ファイナルで特にチャイコフスキーでミスが多くなってしまったのが残念でしたね。しかし聴衆には圧倒的人気があったようで、6人の中では最下位でしたが、特別賞を受けたようです。

 リーについてもまだファイナルを聴いていないのですが、2次予選での「コレルリの主題による変奏曲」でのしなやかさが印象に残っています。ツイッターフェイスブックではとても高く評価されていたので、これからゆっくり1次予選とファイナルを聴きます。

 以上ファイナリスト6人について簡単に触れましたが、ファイナルに進めなかった人の中にも印象に残った演奏がたくさんありました。
 次回また書きます。