ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ショパンコンクール2

 10月3日から熱戦が繰り広げられていたショパンコンクールは、19日深夜(日本時間20日朝)、結果発表があり、入賞者が決まりました。
 昨日の朝、起きたら結果が出ているだろうと思って目覚めてすぐスマホを見てみたら、まだ発表になっていませんでした。審査会議も相当紛糾したのでしょう。ファイナルの出場者が皆、疲れ切った顔で待っているところが映し出されました。
 そして、日本時間の朝8時少し前に結果が発表されました。
  1位 チョ・ソンジン(韓国)
  2位 シャルル・リシャール・アムラン(カナダ)
  3位 ケイト・リウ(アメリカ)
  4位 エリック・ルー(アメリカ)
  5位 トニー・ヤン(カナダ)
  6位 ドミートリー・シーシキン(ロシア)
という結果になりました。

 今回はファイナルになってもまだすべての演奏者を聴くことができないほど時間がなく、優勝したチョ・ソンジンに注目したのは3次予選のときでした。同じ韓国のチ・ホ・ハンと2人続いてプレリュード全曲を弾いたときにこれは差がついたかも知れないと感じました。
 いろいろなピアニストが様々な個性を発揮した中でチョ・ソンジンは一番素直に自分の思うところを表現している感じがして好感を持ちました。
 2位のアムランも3次予選の3番のソナタに惹かれて注目していたら、予想どおりファイナルに進みました。(彼はソナタ賞を受賞しましたね)ファイナルのとき彼だけが2番のコンチェルトを弾いたので、1番を何度も聴いたあととても新鮮だったのは記憶しています。
 シーシキンが6位だったことはとても意外でした。実際、名前が呼ばれたときとても悲しそうな表情に見えました。1次、2次がとても素晴らしいと思っていたのですが…ネット上でも意外だったという声はたくさん上がっていました。
 3位のリウ、4位のルー、5位のヤンと日本人でただ一人のファイナリストだったけど惜しくも入賞を逃した小林愛実さんはまだファイナルをちゃんと聴いていないので、これからゆっくりアーカイブを聴きます。小林さんの2番のソナタがとても印象に残っていて、これはファイナルに行けると思いました。入賞はもう一歩のところだったのですね。

 コンクールの配信を聴くのは大変だけど、とても勉強になることは確かです。個人的には私はどちらかというとオーソドックスで淡々としたショパンが好きだったのですが、いろいろな解釈のショパンを聴いて「こんな解釈もあるんだ…」と目を開かせられる演奏にも出会いました。時代の流れとともに変わってくるものもあるでしょう。自分がこれから年を重ねて行くときに、昔から馴染んできたただひとつの解釈だけではなく、いろいろな新しいものを受け入れる柔軟さを失わないようにしたいと考えています。

 次は、最近私がレッスンを受けているパーヴェル・ネルセシアンが審査員をつとめる浜松国際コンクール、知っている方も出場するのでとても楽しみです。また、日本で行われるので時差に悩むことなくライブを聴けるのが嬉しいですね。