ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

教室HPについて

 教室のHPを始めて早くも十数年の年月が過ぎ去りました。見よう見まねで自分で作った拙いものでしたが、このHPを見てたくさんの方々が入会して下さいました(この小さな教室の仲間になって下さった皆様に心からお礼申し上げます)。

 

 しかし、このHPをアップしていたプロバイダーが来年3月限りでHPのサービスを終了することになり、かなり大がかりなHPのリニューアルをしなければならなくなりました。よってHPのアドレスも変更になります。

 こういうこみ入ったPCの作業はまとまった時間が取れるときしかできませんので、年末年始のお休みのときに予定しています。

 年明け早々新しいアドレスをお知らせすることになると思います。また前のアドレスにアクセスして下さった方が迷わないよう、3月までは旧アドレスからのリンクのページも作成する予定です。

 

 何とか年末年始のお休み中に完成できるように頑張ります…

 

 どうかよろしくお願いいたします。

 

12月、年末年始の予定

 ついに今年のカレンダーもあと1か月を残すのみとなりました。自分にとっての記念すべき年は怒涛のようにコンサートが詰まった年になりました。でも、コロナ禍のときよくいろいろな人とアンサンブルがしたいと願っていて、それがかなったので幸せな年だったと言えるかも知れません。今度は来年の発表会(3月8日、ふきのとうホール)に向けて準備を進めていきます。

 

 12月、年末年始の予定をお知らせいたします。

 年内のレッスンは、

    12月28日(土)

までです。発表会に出演される方はこの日までに申し込みをお願いいたします。

 2025年年始は、

    1月4日(土)

からレッスンを始めます。

 お休みは、

  12月1日(日)

    8日(日)

    15日(日)

    22日(日)

    29日(日)から1月3日(金)まで

となります。

 来年は発表会が例年より少し早いので、通常お休みにしていた1月4日からレッスンを始めます。多分5日までは日本列島はお休みモードだと思いますが、お休みこそ集中して練習したい方、お待ちしています。

 

 昨日は札幌で20センチ超の雪が降り、一気に冬モードになりました。白石教室への往復も復路は往路の倍の時間がかかりました。いよいよ冬道運転の季節がやってきました。寒さで体調を崩しやすい時期なので、どうか皆様お体に気を付けて年末を迎えて下さい。

 

タンボフで聴いたピアニスト

 皆様にご心配頂いた目は何とか回復し、時短ですがコンタクトが使えるようになりました。ホッとして一息ついたとき、ショッキングなニュースが飛び込んできました。

 

 2018年10月29日、ロシア、タンボフ州イワノフカのラフマニノフ博物館を訪問した後、現地でお世話になった秘書のイリーナ(当時タンボフ在住、現在はグルジアトビリシ在住)に「音楽学校で素晴らしいコンサートがあるから一緒に行かない?」と誘われました。

 ラフマニノフ記念タンボフ音楽学校の地下のホールで彼女と一緒にそのコンサートを聴きました。

 

 演奏者はパーヴェル・クシュニール、この音楽学校からモスクワ音楽院に進み、各地で活躍していた若いピアニスト、曲目はバッハのパルティータ全曲でした。

 右上に貼ってあるのがこのコンサートのチラシです。

 素晴らしい演奏でした。バッハのパルティータのみというとかく単調になりやすいプログラムで、実に見事にそれぞれの舞曲を弾き分けていました。そのときから彼は私の中で「もう一度聴きたいピアニスト」にノミネートされていました。

 このコンサートを聴いた後私は一人タクシーでタンボフ駅に向かい、モスクワ行きの夜行列車に乗ったのです(当時の様子を書いたブログはこちらですロシアだより2018 第4回(全6回) - ピアノのある部屋から)。

 

 その彼が拘留中のビロビジャン(ハバロフスクから約150キロ、シベリア鉄道本線が通っています)の拘置施設で亡くなったという記事をSNSで見つけました。

 ロシア語だったので、慌ててわからない単語は辞書をひいて詳しい情報を調べました。

 更にいろいろ調べていくと日本語のブログもいくつか見つかりました。

 その中の一つです

反戦活動家のロシア人ピアニスト、拘留中に死亡 | office yamane

 

 私は彼が反体制活動家としても活動していたことは知りませんでした。調べたところによると、今年の5月に反体制の活動によって逮捕され、7月に亡くなりました。死因はハンガーストライキ、現在の体制に抗議してのことだったようです。

 そして彼を追悼して世界の名だたる演奏家たちが公開書簡を発表したのです。11月18日にはパリでコンサートも行なわれたようです。こちらの記事に詳しく載っています。

クラシック音楽とアート : プーチンの犠牲者パヴェル・クシュニールの追悼コンサートを開催|ソコロフ & ババヤン

 

 芸術の面でも世界の分断化が進んで行くように感じます。有史以来芸術は常に政治に翻弄されてきたわけですが、現代もまだそれが続いていると思うと悲しい。

 そして何よりも「またどこかで聴きたい」と強く願っていた彼の演奏がもう聴けないと思うともっと悲しいのです。

 

 

 

東京圏でのコンサートについて

 今秋続いた札幌でのコンサートがようやく終わり、ホッと一息ついたのですが、同時に立て続けに体調を崩すことが続き、意気消沈したこの一週間でした。

 先週の土曜日、白石教室でのレッスン中に強い目の痛みに襲われ、目が塞がるほど腫れました。かかりつけの眼科が土曜日午後でお休みだったため、初めて医師会の夜間急病センターのお世話になりました。疲れで抵抗力が落ちたところに細菌が感染したそうで、飲み薬(抗生剤)と点眼薬が出ました。

 月曜日にかかりつけの眼科を受診し、現在も治療は継続中です。腫れはだいぶひいてきましたが、コンタクトはまだ使えません。非常時の運転用眼鏡で運転していますが、見え方がいつもと微妙に違って緊張します。

 

 今年の初めには、12月頃に東京圏で久しぶりにコンサートをしたいと考えて、何人かの方に年賀状等でお知らせしていたのですが、夏に大きく体調を崩した後、いろいろ故障が続いているため、残念ながら今年の年末は見送ることにいたしました。

 今年の東京でのコンサートを待っていて下さった皆様、大変申し訳ありません。

 来年は7月18日(金)に横浜、みなとみらいホールにて2台ピアノのコンサートに出演いたします。曲目はインファンテの「3つのアンダルシア舞曲」です。詳しいことはまた追ってご案内いたします。こちらを楽しみにしていて下さると嬉しいです。

 

 私のサイトのコンサートのページを今週更新する予定でしたが、目の故障ですっかり予定が狂ってしまいました。目がすっかり治ったら、サイトもリニューアルする予定でいます。

 どうかよろしくお願いいたします。

無事終了いたしました。

11月2日の「チャリティーコンサート、皆んなで歌おう橋本国彦」、及び11月7日の「コンサート・コンコルデ、19世紀末を彩った作曲家たち」、2つのコンサートが無事終了いたしました。

聴きにいらして下さった皆様、コンサートでお世話になりました皆様に心からお礼を申し上げます。

自分でいろいろ工夫を凝らして準備したつもりでも、反省すべき点は山のようにありました。

反省すべき点があるということは、まだ先に進めるということだと信じて、今後も邁進していきたいと思っています。

 

実はコンサート終了後、左目に強い痛みと違和感を感じ、ついに昨夜夜間急病センターのお世話になりましたために、お礼の投稿が大変遅くなってしまいましたことをお詫び申し上げます。

大台に乗って、若い演奏家がどんどん出てくることに強いプレッシャーを感じるとともに、オファーを頂いたことをとても有難く思い、悔いのないようにできるだけのことを、と考えて練習していましたが、少々無理をしすぎたようです。

 

今後少し安静にしてまた次に向かって進んでいきたいと思います。

 

写真、ビデオは準備ができましたらアップする予定でおります。

有難うございました。

明日11月2日「チャリティーコンサート、皆んなで歌おう橋本国彦」で彼の歌曲の大作「舞」を演奏いたします。

演奏時間9分にもなる「舞」、ピアノパートの前奏、間奏、後奏も場面を盛り上げる重要な役割を担っているので、YouTubeでいろいろな演奏を検索してできるだけたくさん聴きました。

皆さんそれぞれ工夫をこらしていて素晴らしい…

それを自分の中にどう取り入れていくか、そして何より大事なのは歌い手とどのように融合していくか試行錯誤を重ねました。

今回共演させて頂くソプラノの美野明子さんは明日は和服で登場します。歌の中に振りも入るようです。日本舞踊の素養もある方なので、どんな「舞」になるのか、私もとても楽しみです。

しっかりサポートできるように頑張りたいと思います。

 


多くの方々に聴いて頂ければ、とても嬉しく思います。

 

メトネル


 11月7日に開催される札幌音楽家協議会主催「コンサート・コンコルデー19世紀末を彩った作曲家たち」では久しぶりにロシアの作曲家、ニコライ・メトネル(1880~1951)の作品を弾きます。

 彼の代表作とも言える「忘れられた調べ」から作品38-3「優雅な踊り」、作品38-6「夕べの歌」、そして作品39-3「プリマヴェーラ(春)」の3曲です。

 最近日本でもメトネルの作品が演奏される機会が少しずつ増えてきましたが、同時代に活躍したラフマニノフスクリャービンに比べるとまだまだ知らない人が多いのではないでしょうか。

 

 この名字を見てロシア人っぽくないと思った方がいらっしゃると思いますが、生まれはモスクワ、両親はドイツ系でプロテスタントを信仰する家庭でした。モスクワ音楽院ではピアノ科で、サフォーノフの門下生でしたが、その後作曲をタネーエフらに学び、ピアノ、作曲の両面で多彩な活動を展開していきます。

 

 メトネルのピアノ作品の特徴としてまず第一にあげられるのは、まず旋律の美しさ、そして非常に充実した内声だと思います。同世代のラフマニノフスクリャービン、そして恩師タネーエフの影響を受けていたことは随所に感じられます。

 ピアノの名手だったこともあって、ピアノ作品はどの曲もテクニック的に高度なものが要求されます。このあたりはラフマニノフに似ていますが、この人の作品にしかない和声もときどき登場してはっとさせられることがあります。

 

 作品38-6「夕べの歌」を若き日の我が師匠、パーヴェル・ネルセシアンが弾いている動画があります(1991年の収録、演奏は1分20秒くらいからです)。

 私自身この曲でネルセシアンのレッスンを受けたことがあります。このとき内声をきちんと意識して弾くことを厳しく言われましたが、そのとおりの緻密な演奏だと思います。


www.youtube.com

 

 

 そして、今月メトネルの歌曲が聴きたくて行った「服部麻実ソプラノリサイタル」(10月19日の記事参照)でピアノパートをつとめた(素晴らしかった…)ミハイル・カンディンスキーが弾いている録音も見つかりました。この人も典雅で美しい。


www.youtube.com

 

 メトネルの作品が日本でももっと多く演奏されて欲しいと願いながら準備を進めているところです。

 メトネルってどんな曲なんだろう、と思った方はぜひ11月7日の教育文化会館に足をお運び下さい。

 お待ちしています。