ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

テクニックを新しく作り直そう…

 3月に怪我をして皆様にご心配をおかけした右手は今月に入って順調に回復し、スケール、アルペジオが全調通して弾けるようになり、テンポも左手と同じにしても大丈夫になってきました。4つの和音(ドミソではなくドミソド)や跳躍もできるようになり、あと残るは5、4指の練習だけです。
 傷めたのが右手の4の指を動かす靭帯だったので、4指を強化する練習は長いこと非常な恐怖感がありましたが、今週に入って少しずつ始めました。まだこれだけは元通り全部は弾けないのですが、何とか7月からはできるようになりたいと思っているところです。
 包帯で固定していたため10度がつかめていた手がオクターブがやっとになってしまっていたのですが、9度までつかめるようになりました。

 右手の練習もかなり進んでバッハのフーガやモーツァルトソナタやコンチェルトなどが弾けるようになりました。厚い和音のあるものはまだちょっと無理ですが、もう一息です。
 ただ、持久力に関してはまだあまり続けることはきついので、右手が疲れてきたらラヴェルの左手のための協奏曲を練習するようにしています。

 予定されている両手での初めての本番は、9月19日(土)函館での母校、国立音楽大学同調会のコンサートです。実はチラシの原稿を出したとき(4月下旬)はどうしても決まらなくて曲目未定になっています。本当はチャイコフスキーの「ドゥムカ」がとてもやりたかったのだけど、まだちょっときついかな、と思えて、プロコフィエフの「4つの小品 作品32」とチャイコフスキーの小品を3曲入れるプログラムで迷っています。今、モスクワで開催されているチャイコフスキーコンクールのライブを聴いて、あまり知られていないチャイコフスキーの小品に魅力的な作品がたくさんあることを知って、かなりチャイコフスキーに傾いているのですが…来月12日までに解説と一緒に出さなくてはなりません。

 怪我をしたことで非常に大変な思いをし、いろいろな方にご迷惑をかけることになってしまったのですが、演奏を休むことで忙しいときには気がつかなかった様々なことに気付くことができたのではないかと思っています。
 右手のリハビリを始めたとき(3月末)は痛みと痺れと恐怖感で元通り弾けることなど考えられなかったし、その肉体的、精神的ショックで体調を崩したときもありました。
 再び弾き始めたとき右手のテクニックはすっかり落ちてしまっていましたが、今はそれを元に戻すのではなく、新しく作り直そうと思って毎日の練習を進めています。