ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

パーヴェル・ネルセシアン  ピアノリサイタル、初めての裏方奮戦記

 一昨日から東京に来ています。昨日八王子市で行われたパーヴェル ネルセシアンのリサイタルのためです。 しかも今回は初の裏方のお手伝い…

 しかし、いちょうホールの舞台裏は全く初めてで何もわからず、地元の人間でもないからホールのまわりに何があるかもわからない私ができることと言えば…

 通訳しかないですな…

 覚悟を決めて彼を待つ…

 この数ヶ月の私のロシア語はサンタンたるもの…授業には全く出られず、辛うじてBSロシア語ニュースと運転中のラジオ講座でつないでいました。

 5時すぎ、彼が到着。間髪入れずリハーサル。ああいう世界第一級の演奏家がどのように調整をするのかとても興味がありました。
 客席でじっとリハーサルを見守りました。緊張の中、曲に入り込んで行く様子が手に取るようにわかって、非常に勉強になりました。

 6時すぎ、リハーサル終了。あとはスタッフの方の話を彼に伝えられるように、彼の邪魔にならないように待機。
今回のプログラムは4部に別れているので、どこで休憩を入れるのか、舞台袖に入ってくるのはいつか、また食べ物や飲み物の手配まで、彼に聞くことは本当にたくさんありました。
 今まで彼についていた通訳の方の苦労など考えたこともなかったのですが、改めて大変な仕事だと実感しました。

 開演5分前、緊張した表情で彼が舞台袖に入ってきました。その場の空気が凍りつくような物凄い緊張感です…
 そして…客席の照明が落ちると、彼は静かに舞台へと出て行きました…

 演奏はやはりどの曲も素晴らしかったの一言に尽きました。私は、最後まで調整に余念がなかった後半のリストのソナタが特に印象に残りました。
 彼はお正月にひどい風邪をひきこんでしまい、咳と鼻水で大変だったそうですが、客席で聴いていた方は全くわからなかったそうです。体調がどうであっても演奏に影響させない、口で言うのは簡単でも、これほど難しいこともありません。

 コンサート終了後、サイン会のためロビーへ。彼はこのホールはすでに慣れていますので、逆に彼に案内されてたどり着くことに…
 ロビーで顔なじみのロシア語通訳の人に会ったときは、緊張が緩んで腰が抜けそうになりました。

 多少失敗もありましたが、ロシア語も何とかなりました。あとはめげずに続けていくことなのでしょう。ピアノのことだけではなく、得るものが多かった一日でした。