ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ゆっくり練習すること

 私は今まで数多くのバレエ音楽をピアノに編曲した作品を演奏してきました。聴く人がバレエの舞台を思い浮かべることができるような演奏がしたいと常に思い、たくさんのバレエの映像を見たり、時には振付を覚えたりしながら研究を重ねてきました。

 しかし あまりバレエの場面に入れ込み過ぎてイメージばかりが先行すると、ピアノのテクニックが崩れてきます。私にとって特に危ないのが、来月マスタークラスを受ける「ロミオとジュリエット」(プロコフィエフ作曲)と2006年からレパートリーに入れた「ペトルーシュカ」(ストラヴィンスキー作曲)なのです。
 実はこのところ「ロミオとジュリエット」は少し崩れ気味…踊りのことばかりにアタマがいってしまったのです。現在 自分が腰を傷めて踊れないので、イメージばかりが過剰に出過ぎてしまったようです。

 そんなときは プログラムの全部の曲を楽譜を見ながらゆっくり練習します。暗譜してレパートリーに入ってしまうとどうしても楽譜を見なくなりがちなのですが、結構見落としていたり忘れていたりするところはあるものです。そして 曲の隅々まで指が鍵盤にきちんと入っているか確認します。
 コンクールや発表会を控えた生徒さんにもこの練習はよくやってもらいます。舞台が近づいてくるとプレッシャーから気持ちが高揚し、テクニックがついていかなくなることはよくあることなので、もう一度落ち着いて1つ1つの音を確かめることをレッスンでよく言っています。

 今日 コンクールから帰って来た後 「ロミオとジュリエット」をゆっくりさらってみました。崩れてくるとどうしてもイライラして体も固くなりがちですが、テクニックも精神的なものも随分楽になりました。
 今月 もう一度東京へレッスンに行くので、そのときまではゆっくり練習中心でやった方が良いかも知れない…と考えているところです。