ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ボストンへ

 4年前から毎年受けているパーヴェル・ネルセシアンのレッスンは、今年は10月にボストンで受けることになっています。今年春にこの話が決まってから私は初めての場所に行く楽しみと不安が半々の日々を送ってきました。
 今年は私の方も非常に忙しく、ますます多忙になっていく彼のスケジュールとを合わせるとなかなかどこでレッスンを受けられるかが決まりませんでした。
 初め彼に「ボストンで」と言われたときはかなり葛藤しました。昨年は手の怪我のためどこにも行けない状態っだったので(何しろまず荷物が持てない)、とにかく今年こそはロシアに行きたい、あの景色に逢いたい、とずっと思っていました。モスクワへ行って、それからまだ行ったことのないイワノフカのラフマニノフ博物館もいいなあ、と思いをめぐらしていたのです。
 今年は彼のレッスンは諦めてロシアに行くか、それとも行ったことのない新しい場所へ飛び込んでみるか、ほどなく答えは出ました。今まで彼のレッスンを受けてきて本当にいろいろなことに目を開かせられたし、右手の怪我から回復してようやく両手で弾くことが軌道に乗ったので、やはり今までのレパートリーに新しい曲を合わせて彼のレッスンを受けたいと思いました。

 新しいものや場所に飛び込むときはいつもワクワクしてしまう私ですが、人生初のアメリカ行きにはかなり緊張を感じています。
 何しろ今までロシアだけに全精力を注ぎこんできたので、ハーバード大学がボストンにあることも知らなかったほどのアメリカ音痴です。
 まず、行くためにはアメリカのことを知らなければならないと思い、「地球の歩き方 ボストン」というガイドブックを買ってきました。
 毎日少しずつ読み、何とかボストンの地理、交通機関アメリカの出入国のしくみなどが少しずつわかってきました。するとアメリカの他の地域のことにも興味がわいて、「地球の歩き方 アメリカ」も買ってきました。
 今までロシアに行くときはビザの手配を旅行社にお願いすることが多かったのですが、アメリカは短期で仕事でなければビザは不要で、かわりにESTAというビザ免除プログラムを自分で申請するようです。
 また、宿泊も自分で探さなければならず、大変だと思っていたら、幸運にも彼の勤めるボストン大学の近くに日本人の経営するゲストハウスを見つけました。アメリカ一ホテル代の高いボストンですが、朝食つきでお値段も比較的手ごろで、ボストンとケンブリッジでかかる14.45%のホテル税もかからないとのことでした。

 そして英語、ずっとどこかに習いにいくことを考えていましたが、やはりスケジュール的に無理だったので、今はラジオの「英会話タイムトライアル」を聴いています。ちょうど今聴いているところが旅行に使う言い回しのところで、まさにすぐに役に立つ表現ばかりです。ロシア語と違って英語は、日本語で普通に使われていても向こうでは通じない「和製英語」がたくさんありますが、それを重点的に取り上げていて、とても助かっています。
 ボストン行きの話が決まってからずっと英語に軸足が移っていたのですが、彼のレッスンはロシア語なので、ロシア語で更に込み入った話ができるようにしなくてはならないと思い、ロシア語に戻ってきています。しかし、ロシア語に戻ると英語が不安になり、私の頭では2か国語はなかなか大変です。
 とにかく彼しか頼る人がいないのですが、なるべく彼に頼らないで何でも一人でできるようにしなければなりません。そんな中、宿のオーナーが日本人というのは何か起こったときにはとても心強いです。

 こうして出発はどんどん迫ってきていますが、実は航空券に関しては予約は取れているのですが、まだ迷っているのです。
 それについてはまた書きますね。