ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

アメリカだより2016 第1回(全5回)

 10月10日から20日まで現在師事しているパーヴェル・ネルセシアン氏のレッスンを受けにアメリカ、ボストンへ行ってまいりました。ロシアは何度も行っていますが、アメリカは全く初めて…ロシアとはまた違う文化に触れて、刺激が一杯の10日間でした。
 この旅の模様を5回に分けてお届けいたします。

   10月10日(月曜日)
 新千歳空港からJAL506便で羽田へ、更に成田に移動してJAL008便でボストンに向かいました。
 まだ見ぬ文化圏への旅はたくさんの好奇心と少々の不安とともに始まりました。
この日の楽しみは何と言ってもビジネスクラス(JALマイレージバンク特典航空券)、北米線はなかなかビジネスクラスの特典枠に空席がなく、待って待って、執念で片道だけ獲得しました。(帰りはプレミアムエコノミーです)
 B787-9の新型のビジネスクラスは個室のようになっていてとても快適。ただ、隣の人の顔は全く見えないので、愛しい人といつも手を繋いでいたいカップルにはこの座席は不向きかも…
イメージ 1

イメージ 2

機内食もレストランのように一品ずつ出て来ます。
イメージ 3

特筆すべきは、フィギュアスケート浅田真央選手が宣伝しているマットレス「Airweave」、ビジネスクラスの乗客全員に用意されているので、私も使ってみましたが、とても楽でした。特に同社の枕がすごく合っていて、私も欲しい。
イメージ 4

 フルフラットのシートでゴローンと寝てしまった私は熟睡してしまい、2回目の機内食が始まってもしばらく寝ていました。
11時間半ほどのフライトで予定より早く、ボストン、ローガン国際空港に到着、ここからがすべての始まりです。
まず入国審査、簡単な英語のやり取りは覚えていきましたが、予想しないようなこみ入ったことまで聞かれて往生しました。(こんなこと聞く必要があるのかということまで聞かれました)
 レッスンはロシア語なので直前はロシア語に力を入れていて、英語は手薄でした。
 荷物を引き取って、タクシーを拾い、宿の「Tおばさんの家」へ。ここは日本人が経営するゲストハウスです。レッスンが行われるボストン大学まで歩いて3分、地下鉄グリーンラインのB線、Boston university west駅までも3分、こんな近くに宿が見つかったのはとても幸運でした。
イメージ 5

日本語が通じる環境のためほっとしてお風呂に入ろうとしたらハプニング…いつまでたっても水が暖まって来ない…
 高尾の滝に打たれる修行をする気にはならず、さりとてロングフライトの後のお風呂なしは辛いし、無い知恵を絞ったあげく、洗面台で髪を洗うことに…(ロシアに何度も行っているとこういうとき何とかかんとかしてしまう。翌日オーナーに話すと、水の出し方が足りなかったそうです。水栓が温度調節を兼ねているものは初めてでした)
 髪がきれいになるとホッとして疲れが出ました。部屋も広くて快適で、初日からぐっすり休めました。

   10月11日(火曜日)
 この宿の朝食は洋食と和食が一日交代、この日は和食で、ご飯、味噌汁、だし巻き卵、のりなどのおなじみのものが並びました。毎朝バラエティに富んでいて栄養バランスも考えられています。本当に行き届いています。
 11時にパーヴェル(ネルセシアン)に聞いた行き方を頼りにボストン大学421教室へ。ここは彼専用のレッスン室のようです。
イメージ 6

 レッスンが始まりました。
 この日はバッハ(ラフマニノフ編曲)の「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」、
 まずズバリ、リズム感について指摘されました。ラフマニノフの編曲はピアニストにとって非常に難しいものだけれど、それを感じさせないリズム感が必要。プレリュードはヴァイオリンのオリジナルがわかるように、そしてガヴォットとジーグは舞曲なのだから、舞曲のリズムを感じさせるように。私はどうしてもテクニックで一杯一杯の状態になってしまうのです。
 どんな曲を弾いても彼のリズム感とセンスはきわだったものがあると常々思っていた私の今回の大きなテーマが「舞曲をどう演奏するか」ということでした。今回ガヴォット3曲、ジーグ2曲、バッハのフランス組曲もあります。
 終わった後レッスン室を使わせてもらえたのはとても助かりました。何しろ前日はフライトだったし、出発前はひっくり返るような忙しさだったので。しかもピアノはスタインウェイのフルコン、こんな良いピアノで練習ができるなんて有難すぎる…
イメージ 7

 もうトイレにいくのももったいない、という感じで夕方まで一気に練習。
 まずは充実したレッスン第一日目となりました。