ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ロシアンピアノスクール

 前回の続き、
 今回は「ロシアンピアノスクール」で私が聴いた公開レッスンと講師のアンドレイ・ピーサレフのリサイタルについて書きます。
 
 今回は8月13日午前のパーヴェル・ネルセシアンの公開レッスンを聴きました。このような公開レッスンを聴くことは自分の指導者としての勉強に大変有益なものです。会場では同じような先生方がたくさん来ていました。
 また。私にとってはロシア語の勉強にも大変役立っています。レッスンでよく使われる言葉を頭の中でしっかり整理して、自分がレッスンを受けるときに備えること、また通訳の方がどう訳すかも注意深く聞いています。
 先生方や受講生の中にはメモを取っている方も多くいましたが、私の場合、メモを取ろうとするとどうしても通訳した日本語だけを聞くことになってしまうので、現在は取っていません。できるだけロシア語を感じ取って、たくさん頭に入れるようにしています。
 初めに受講生が曲全体を通して弾きますので、この間にもしこの人が自分のところにレッスンに来たとしたら自分はどのようなことを言うかを考えます。その上でその後のレッスンを聴いて、自分が気がつかなかったこと、足りないところを勉強して行くのです。
 厳しい審査をくぐり抜けた受講生は皆、基礎的なテクニックは完成されています。あとはその上で曲をどう表現していくか、どう聴く人に伝えていくかです。
 
 この日も私自身得るものがたくさんありました。この間の東京行きは非常にスケジュールが厳しくなってしまい、結局公開レッスンはこの1回だけしか聴くことができませんでした。翌14日の午前中にはモスクワ音楽院から招聘した学生のレッスンがあってとても聴きたかったのですが、この日は東京の先生の自分のレッスンのあとピーサレフのリサイタルを聴いて、深夜便で札幌へ戻るというスケジュールで、さすがに諦めました。来年はもう少し時間を取ってたくさんの人のレッスンを聴きたいと考えているところです。

 ピーサレフのリサイタルのプログラムは、自分が一昨年のリサイタルで弾いたチャイコフスキーの「四季」でした。それだけにとても楽しみで、途中で出なければならなくなっても絶対に聴きたいと思っていました。
 とても美しい…今まで何度も聴いたパーヴェル(ネルセシアン)とも違う個性…この曲は奏者によっていろいろな表情を見せるのですね。私にとって新しい発見がたくさんあり、幸運にも最後まで聴けました。

 最後の曲「クリスマス週間(12月)」が終わった途端、私は脱兎のごとくカワイ表参道を飛び出して、羽田空港へ…
 最後とても慌しくなってしまったけど、暑い中頑張って東京へ行ってきてよかったと心の底から思いました。