ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ロシアだより 2014 その6(最終回)

 前回の続き

  6月23日(月)
 いよいよ帰る日です。朝食のあとフロントへ行ってドモジェドヴォ空港までのタクシーを予約し、12時のチェックアウトまでのんびり過ごしました。
 この一週間日本語は話すことも聞くこともありませんでした。ホテルでは様々な言語が飛び交っていましたが、なぜか日本語はありませんでした。
 どこへ行ってもロシア語を使わなければならないこういう環境だと、ヒヤリングと会話力は飛躍的に上達しましたが、日本語に飢え、メールやFacebookに逃げ込む日々でした。(Wi-Fiがあって助かった…)
 
 12時にチェックアウト、タクシーが来る2時まで下のカフェでランチタイム。このカフェにはよくお世話になりました。ボルシチやサリャンカなどのスープ類がとてもおいしかったし、サービスも良く、親切にしてもらいました。

 2時にフロントのタクシーカウンターに行ってみると、あまり人相の良くない男性が私を待っていました。どうもここのホテルと契約している白タクの運チャンらしい…

 最後まで油断ならん…

 覚悟して車に乗り込みました。
 
 何度モスクワに来てもこの渋滞には閉口します。乗ってすぐ運チャンにドモジェドヴォ空港までどのくらいかかるかと尋ねると、1時間20分くらいだと言いました。
 しかし、この渋滞、いったいいつまで続くのか不安になった私は
 「本当に1時間20分で空港に着くんですか?」と聞いてしまった。
 その途端に渋滞を外れ、運チャンは「行ってやるよ!!」と言うなり、何と時速130キロ…
 生きた心地がしないまま、あっという間に空港に着きました。

 JALのカウンターに日本人の係員がいて、声をかけてくれました。一週間ぶりの日本語に腰が抜けそうに…空港や駅でのアナウンスはほぼ大丈夫になり、タクシーの中のデカラジオ(日本語だったら耐えられないボリュームだが、ロシア語だとこのくらいでないと聞こえない)も半分以上わかるようになりましたが、積み重なった緊張は物凄いものになっていたようです。
 日本語で出国の場所を教えてもらい、ほっとしてラウンジへ…

 
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ここで専用Wi-Fiがつながったので、家族にメールを書き、ロシアからの最後のFacebookの更新をしました。
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 食べ物がたくさんあるのだが、機内で大量に出てくるので、ここで何を食べるかが問題…結局食べたのは「虹」という名前の小さなムース。

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 ドモジェドヴォ空港のアナウンスは初めにロシア語、次に英語、3回目はその航空会社の母国語で放送されます。ラウンジにいる間、ルフトハンザのドイツ語の放送が続いていました。
 その後、
 「日本航空、442便、18時15分発、東京行…」
 あっ…日本語だ…
 このときから私の涙腺はすでに決壊していたようです。
 機内に入ってCAに日本語で「お帰りなさいませ」と声をかけられたときは、こらえきれずに大泣きし、モスクワの景色が雲の中に隠れるまでずっと泣いていました。
 母国語というのはそれだけ偉大なものなのでしょう。

 ようやく落ち着くと、食事が出てきました。ゆっくり食べてフライトインフォメーションを見ると、すでに残りの飛行時間は6時間を切っているのです。この間に寝ておかないと日本は朝になってしまいます。
 顔を洗ってベッドに横になりました。ほぼフルフラットになり、とても快適…私の他にビジネスクラスの乗客は4人しかいなく、広い…
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USBでスマホを充電できる電源もついています。来るとき私は知らずに充電コードをトランクに入れてしまったのですが、隣のオジサンがやっているのを見て、帰りはちゃんとコードを機内に持ち込みました。
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 日本に帰ったら頑張ってマイルをためて、またビジネスクラスのタダ券をゲットしまーす。(ディスカウントマイルで59000マイルです)
 

   6月24日(火)
 日本語を聞いてすっかり安心した私は熟睡してしまい、成田に着いてもまだ朦朧としていました。到着は午前8時、モスクワ時間ではまだ午前3時ですから無理もありません。
 眠りながら羽田に移動し、まだ次の千歳行きの便まで時間があったので、羽田空港第1ターミナル内の「ファーストキャビン」という休憩所へ。個室とお風呂とアメニティがそろって3時間で3000円、この日の私のように次の便まで時間があるときはいいですね。
 ゆっくり休んだあと、JAL521便にて千歳へ…
 ロシア語ばかり使っているとどうしても神経が高ぶって不眠に陥りがちでした。特に21日にパーヴェルと「シンデレラ」を合わせたあとは薬も効かないほどになってしまって、一度日本に帰らないと死ぬかも知れない、と思うほど眠れなかった…久しぶりの自宅で緊張から解放され、こんこんと眠りました。


 リサイタル「ロシアピアニズムとロシアバレエ3」、詳しくはこちらからご覧になれます。