ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

コンクール

 夏から秋にかけては いろいろなピアノのコンクールが開催される時期です。うちの教室でもコンクールを目指して頑張っている生徒さんがいます。

 今月に入って レッスンの方も急ピッチで忙しくなってきました。

 コンクールだからといって特別なことを教えるわけではありません。音楽がきちんと表現できるテクニックをしっかり身につけ、曲を仕上げていくのは発表会や通常のレッスンと同じです。
 しかし 多くのコンクールには課題曲があり、限られた時間で仕上げることを要求されます。そのため いろいろなことを同時進行でやらなければなりません。
 しかし 生徒さんにとってまだ習っていないことを教えるのは慎重にしなければなりません。人によっては少々自分の力より上のものを与えることによって伸びていけることもありますし、バラバラになってしまうこともありえます。その人のタイプや習熟度をみてこちらが決めていくわけですが、これは非常に神経を使います。

 もう一つ大切なのはメンタルな問題。いくら今まで自分の勉強してきたことをそのまま出せばよいと言っても、舞台の上で平常心を保っていられる人はまれです。(私もかつて緊張のあまり震えたり、泣き出したりしたことがあります)しかも コンクールは常に点数や「受かる、落ちる」ということがつきまといます。当然会場の雰囲気も厳しく、実力を発揮するのは難しくなってきます。
 「どうしたら実力を発揮できますか?」という質問をよく受けます。この質問に答えるのは非常に難しいのですが、私は「あがるのを止めようとしないで、あがっても最後まで弾けるように練習しておくこと」と答えています。コンクール直前になると「何が何でも最後まで弾ききる練習」をレッスンでたくさんします。(もちろん細かく直すことも一度弾き終わったあとにします)どんな雰囲気でも 何があっても集中して曲の中に入り込むことが大切だと思いますし、これは訓練によって身につきます。

 うちの教室ではここ数年はコンクール受験者がいない年もあったのですが、このところまた増えてきました。もしかして「ちょっと興味があるけどどんなものかわからなくて不安」と迷っていらっしゃる方もいるかも知れないと思い、先月発行した「教室だより 2009年夏の号」で出場者でなくても聴きに行けるコンクールで夏休み中に開催されるものを特集してみました。

 出場者の皆さんが実力を発揮して 次のステップにつなげることができると良いですね…