ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ザハーロワのすべて (5月3日 東京文化会館)

 お久しぶりです。このところ欠かさず週2回更新してきたのに1回抜けてしまいました…公演を観た3日にその日の感動をすぐ書こうと思っていたのですが、久しぶりに行った東京でやはり疲れ果て、(田舎のヒトになってしまって東京の歩き方を忘れてしまっていました)3日間全く文章が浮かんでこなかったのです…

 公演はそんな疲れを吹っ飛ばしてくれるくらい素晴らしかったのですけどね…

 今回は「カルメン」(アロンソ振付、原曲ビゼー、編曲シチェドリン)がメインプログラムで前半、後半はボリショイ劇場キエフ シェフチェンコ劇場のソリストも加わってのガラ、私が観た3日(Bプロ)は「パリの炎」「トリスタン」「エスメラルダ」「ブラック」「ジゼル」「クレイジー」「ヴォイス」の7演目でした。
 ザハーロワは昨年12月 札幌で「白鳥の湖」を観ました。今回「白鳥」とは全く対照的といえるカルメンをどう演じるのかを非常に楽しみにしていました。
 
 やはりアラゴネーズ(スペインの舞曲)に乗って登場した最初のシーンからひきこまれました…「白鳥」のときも一つ一つの動きの美しさは際立っていましたが、「カルメン」ではよりシャープな感じです。シチェドリン(ボリショイの往年のバレリーナ マイヤ プリセツカヤの夫君)はビゼーの原曲をよりシャープに インパクト強く編曲していると思うのですが、ザハーロワの動きが旋律と一体化して観る者に迫ってきます…(特に足の動きが印象的)照明が落ちて カルメンの死が予告される有名な「カルタの歌」の場面では、その迫力に心揺さぶられ思わず涙が出ました…

 後半のガラでは 古典 新作を取り混ぜてバレエのいろいろな場面を楽しめるようになっていました。
このようなプログラムだと次々場面が変わるため 観るひとがなかなか作品に入って行けないことも少なくないのですが、さすがに作品の間の時間も考え尽くされており、どの作品にもすんなり入っていくことができました。特に印象に残ったのはザハーロワの動きのシャープさが更に強調されていた「ブラック」と ボリショイの若手ソリスト イワン ワシーリエフが踊った「クレイジー
 これまであまり新しい作品を観たことがなかったのですが、もっと観てみたいという気持ちになりました。

 小学生のころ 私が一番憧れていたバレリーナはやはりボリショイ劇場で活躍したリュドミーラ セメニャーカだったのですが、ザハーロワは現在 ボリショイ劇場の教師になっているセメニャーカにレッスンを受けているようです。(プログラムより)
 ロシア バレエの偉大な伝統は確実に受け継がれてきているのだと強く感じて 会場を後にしました。