ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

チャイコフスキーコンクール 

 4年に一度ロシアで開催されるチャイコフスキーコンクールが6月19日から7月1日まで開催されました。

 ロシアのウクライナ侵攻によって国際コンクール世界連盟はこのコンクールの排除を決めたため、西側諸国の参加者は大幅に減少し、ロシア、中国、韓国が多かった印象でした。

 

 YouTube配信は前回と同じようにあったので、あまり夜遅くならないように気をつけながら(モスクワ時間との時差は6時間、コンクールの演奏が佳境に入るころは明け方近くなってしまいます)、ピアノ部門を中心にできるだけいろいろな演奏を聴きました。

 

 国の事情がどうであろうと、コンクールを受ける若者たちが音楽に真剣に向かい合って、緊張しながら舞台に上がることは変わりません。それぞれの国でさまざまな事情を抱えていても、皆どうか自分の力を発揮して欲しいと祈る思いでした。

 

 ピアノ部門では2人の日本人黒岩航紀、田所マルセル、私の師匠パーヴェル・ネルセシアンのモスクワ音楽院の生徒、アレクサンドル・クリュチコとニコライ・クズネツォフ、あともう一人パーヴェルのマスタークラスを受けたとプロフィールに書いていたイリヤ・パパヤンに事前に注目していました。どの出場者も皆魅力的で、それぞれが自身の世界を作り出していて、配信を止めて寝るのが何とも辛い日々でした。

 

 ピアノ部門の優勝者セルゲイ・ダヴィドチェンコの演奏はとても好きですぐにファンになってしまいました。一次予選のバッハの平均律(2巻の22番)の出だしが大変に美しくこの曲だけで惹き込まれました。演奏に独特の柔らかさがあって、それが特に発揮されたのが、プロコフィエフの8番のソナタ(二次予選)と、同じプロコフィエフの2番の協奏曲(ファイナル)の最初の部分だったと思います。

2004年生まれの18才、これからの活躍がとても楽しみです。

 

 日本人2人とクリュチコ、クズネツォフがファイナル出場を逃してしまったのはとても残念でした。二次のリサイタルプログラムは皆それぞれに魅力的で、優劣をつけるのがとても難しかったのは容易に想像できます。

 

 この続きはまた来週アップします。