ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ツファスマン

 今年5月から東京での2台ピアノのコンサートに復帰することになりました。コロナ禍で移動が制限されてからずっとご無沙汰だったのですが、今回4年ぶりに出演することができて、とても嬉しく充実した日々を送っています。

 

 曲目はツファスマンの「ジャズ組曲」、私にとってはもちろん新たな挑戦であると同時に、10年以上演奏することを夢見て楽譜を探し続けた曲でもありました。

 この作品との出会いは確か2011年、モスクワ音楽院の名教授、セルゲイ・ドレンスキーの80才記念コンサートの中継を聴いたときでした。この翌年から師事することになるパーヴェル・ネルセシアンがプロコフィエフの2番の協奏曲を弾いたとき、同門のワディム・ルデンコがこの曲を弾いていました。

 そのときもこの曲が気に入って何度も聴いたのを覚えていますが、自分も弾いてみたいと思ったのはYouTubeプレトニョフの演奏を聴いたときでした。


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 この演奏にすっかり魅了され、自分も弾いてみたいと思い、楽譜を探し始めました。ジャズなんて自分には縁のないものだと思っていたのですが、このプレトニョフのクラシックとジャズが融合した見事さにひきこまれました。

 モスクワに行ったときもかなりいろいろ探したのですがうまくいかず、半ば諦めていたのですが、ここ2,3年でこの曲の演奏動画が急に増えたので、どこかに楽譜があるに違いないと思っていたところでコロナ禍が始まってしまい、この先演奏する場があるかどうかもわからない日々で再び楽譜探しも中断。そして今回2台ピアノを演奏できることが決まって、やっぱり諦めきれずに三たび探し始めました。

 

 ツファスマンの名前は日本では聞いたことがない方が多いと思います。1906年生まれのロシアのジャズピアニスト(日本語のウィキペディアもなかったので、英語のものを貼っておきますAlexander Tsfasman - Wikipedia)、最近日本でも聴く機会が増えたカプースチンやローゼンブラットにどことなく似ているような気もします。

 

 ジョージ・ガーシュウィンとペアを組んだこの曲の2台ピアノ版の録音がYouTubeに上がっています。こちらも素晴らしい…


www.youtube.com

 

 さて、弾きたい気持ちはあっても楽譜はどうしよう…

 ガーシュインとペアを組んでいるので初め英語で検索をかけていたのだけど、もしかしたらと思ってロシア語で検索してみたら…見つかりました。

 

 教室の発表会(今月21日)までは手がつけられず、終わった後に慌ててやり始めました。見た目よりテクニックが難しいし、体力も必要…合わせまであと一週間、何とか頑張ります。