ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

手の筋力

 人間年齢を重ねてくると、何かしら身体の変調を感じるようになることが多いと思います。私も先月は、年齢による身体の不調で週2、3回の通院をしなくてはならなくなりました。今月に入って体調は好転しましたが、通院はあと2週間程続くことに…そろそろ冬道運転が始まる頃、物凄く目まぐるしい日々を送っています。

 

 そんな中、自分では一番考えたくないことと向き合わなくてはならなくなりました。

 手の筋力が落ちやすくなってきているのです…

 毎日の基礎練習(スケールやアルペジオなどを含む)や身体のストレッチなどを休まなければ、今まで通りのテクニックは維持できます。しかしひとたび練習を休むと、回復に若い頃の3倍の時間がかかるのです。

 今年9月、実家の父が入院、手術ということになって練習時間が極端に減ったときは、手術後すぐ通常の練習に戻したにもかかわらず手の動きが重く、年齢による現実を思い知らされることとなりました。

 

 これからどうしたら良いのか…

 ピアニストは長く現役を続けることができるものです。実際私のまわりにも素晴らしい活動をしている先輩方がたくさんいます。しかし、ずっと現役を続けていくためには多くの努力が必要だということを思い知らされました。

 

 やはり、第一は基礎練習を休まないこと、海外に移動するとき(まあこれは当分なさそうだが)などは別としても、通常は必ず朝に基礎練習をして、自分の身体の調子を確かめてからレッスンに入れるようにスケジュールを組んでいます。

 その他にハンドクリップを持ち歩いて握ること、これも休まないようにしています。そんなに重いものではなく、軽めのもので数をこなします。私の場合はだいたい一日250~300回くらい、この数が多いのか少ないのかはわからないのですが、毎日続けることによって自分の手の筋肉が変わってきたのを感じています。人間いくつになっても鍛えれば成長できるということなのでしょう。

 

 このことを私に教えてくれたのは、高校生のときからお世話になっている東京の師匠でした。来年7回目の年男を迎える年齢で緻密な基礎練習を重ねて、現役を保ってきた生きたお手本とも言える人です。残念ながら今年は闘病生活を送ることになってしまったのですが、何と2回の大手術を乗り越えて、先週コンクールの審査に復帰しました。

 自分の身体と向き合って練習を重ねてきたことが、2回の大手術を乗り越える力になったのでしょう。改めて凄いと思いました。