曲の内声が機能していない…
師匠であるパーヴェル(ネルセシアン)に厳しく言われたのは8月に受けたオンラインレッスンのときでした。
今までに5回オンラインでレッスンを受けましたが、毎回物凄い内容の濃さ…リモートの画面から飛び出して来るのではないかと思うほどの迫力があります。
ピアノはオーケストラのように多くの旋律や伴奏を同時に弾ける楽器です。一番上の声部(ソプラノ)と一番下の声部(バス)を除いたものを普通内声と呼びますが、あまり表に出ることはないけれどもとても大切なものです。
自分が演奏するとき、内声は一応気を配って聴いているつもりでいました。
それなのに…
レッスンが終わった後、自分には何が足りないのか考えてみました。
まず今月の動画収録のプログラムに入っているラヴェルの「古風なるメヌエット」、一番上のメロディーを外して他の声部だけで弾いてみました…
すると…
今まで全く聞こえなかった音が次々と聞こえてきたのです…
この声部は全く覚えていなかったのでしょう。暗譜ではとても弾けません。
これだったのではないか…
その後、バスだけ、内声だけ、そしてソプラノを小さく弾いて他の声部を通常の音量で弾く練習もしてみると、次第に内声が頭に入ってきました。
「古風なるメヌエット」の内声はかなり複雑なのですが、頭に入ってくると次第に楽しくなってきました。
今まで自分がいかにきちんと音を聴いていなかったかを痛感した出来事でした。曲の隅々にまで気を配ることをせず、何となくさらっていたことを猛反省しました。
今週末またオンラインレッスンを受けることになっているので、そのときにもう一度弾く予定です。少しでも進歩がみられると良いのですが…
10月2日にアメリカ、ノースカロライナで行われたパーヴェルのリサイタルの動画が上がって来ました。特にプログラム最後のラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲」(1時間23分頃から)が圧巻、これだけ声部の隅々にまで気を配れるということがもう驚異のように思えました。来年はこの曲をレッスンに持って行きたいと思い、10数年前に弾いたきり眠っていた楽譜を引っ張り出しました…