ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ナゼルの夜会

 今年の発表会の第3部(私の演奏)は、フランスの作曲家フランシス・プーランクのピアノのための組曲「ナゼルの夜会」から前奏曲と1,2,3曲目までを演奏いたします。最初はプーランク自身が指定した短縮版(前奏曲、第1,2,3,7,8、カデンツァと終曲)で演奏しようと考えていたのですが、後の第4部が非常に長いので、今回は前半のみにすることに決めました。

 

 この曲を弾いてみたいと思ったのは昨年3月東京文化会館で開かれた師匠パーヴェル・ネルセシアン氏のリサイタルでした。久しぶりに聴く彼の生の音にすっかり魅了され、「この曲やってみたい」と思ってしまったのです。その直後の彼の対面レッスンのときに「プーランクどうだった?あの曲好きでしょ?」と言われ、すっかりテンションが上がって、次のリサイタルのプログラムに入れることに決めて、その場で彼に伝えてしまいました。

 

 勇んで始めてみたものの、この曲は今まで自分が弾いたことのない非常に難解なものでした。フランス人特有の皮肉をこめたユーモアを理解することも難しかった…しかも楽譜の支持はすべてフランス語で、通常出てくる楽語の範囲を超えるものでした。大学院受験のときの外国語はフランス語でしたが、もうすっかり忘れていたので、慌ててスマホにフランス語の辞書を入れ、ゆっくりゆっくり訳し始めました。

 

 この作品をプーランクの名前を初めて聞く人にもわかるように説明を加えながら演奏していきます。

 こちらも楽しみにしていて下さると嬉しいです。