ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

身体の声を聞く、2024年新年

 新しい年もあっという間に11日…年の初めは誰もが「今年はこれをやろう」、とその年自分に課すことを考えると思います。

 私自身は今年いよいよ大台に乗るので、生命あるものは必ず通らなければならない「老い」について多く考えるようになりました。

 子供の頃からずっとピアノをやってきましたが、この先ピアニストとして生き続けるには、身体のケアに細やかな神経を使うことが不可欠になってきます。

 

 まず、ピアニストに不可欠な日々の練習。今までも練習を最優先するように努力をしてきたつもりですが、この先は特に音階などの基礎練習が重要になってくると思っています。年齢を重ねると当然のように筋力は落ちてきます。

 最近は練習を休むと、元に戻すのに若い頃よりも格段に長くかかることを痛感するようになりました。

 よって今年の最大の目標は「基礎練習をサボらないこと」です。いろいろな用事に追われてついつい練習が抜けてしまうこともありましたが、長距離の移動などやむを得ないときを除いてできる限り休まないようにしたいと思います。

 

 しかし、健康で演奏や教室のレッスンをこなすためには、練習だけしていれば良いわけではないようです。多くの音楽家がスポーツなど身体を動かすことをしているのはよく聞きます。

 私もコロナ禍の前まではバレエの稽古に通い、その他にスポーツジムにマシンなどをやりに行っていました。しかし、コロナ禍が始まるとそれらをすべてやめざるを得なくなり、外に出られない生活の中で気がついてみれば食べることだけが唯一の楽しみになっていたのです…

 これでは身体に良いわけがありません。

 一昨年くらいからバレエの個人レッスンを始めています。今年は再びバレエのクラスに出られるようになるのが目標です。

 最近は毎晩ストレッチをするようになりました。白石教室のレッスンの日は母も一緒にやっています。練習やレッスンで疲れた身体がすっきり伸びていくのを感じます。

 

 お正月に飾った鏡餅に願い事を書く絵馬がついていたので、そこに「健康」と書きました(12月31日の記事参照)。今年も心身共に健康でいられるように、いつも身体の声を聞きながら生活をしていきたいと思っています。

仕事初め

 地震、航空機火災と未曽有の物凄い年末年始だった今年の正月休みも終わり、5日からレッスンが始まりました。被災地では「ではまた、年明けにね」と言ってお休みに入って、そのままお別れになってしまった教室もあったのだろうと思います。

 重苦しい仕事初めとなりましたが、3月の発表会に向けて頑張っていきたいと思います。

 

 昨年8月のリサイタルの動画を自分のYouYubeチャンネルにアップしようとお休み中奮闘していたのですが、うまくいかないままお休みが終わってしまいました。プログラムに著作権が切れていない作品が含まれていたため、いろいろ問題があり、もう少し勉強が必要なようです。

 アップを待って下さっていた皆様、すみません。できるだけ早く解決したいと思っています。

新年

 2024年も自分の勉強をしっかり積み重ねて、それを教室の生徒さんにお伝えできるように頑張りたいと思います。今年もどうかよろしくお願いいたします。

 

 元旦の昨日は実家で母と12月9日に観たHITARUバレエプロジェクト「くるみ割り人形」の配信(12月17日の記事参照)を観る約束をしていたので、実家に行っておせち料理とお雑煮を食べ、3時半頃からバレエを観ていました。

 するとPCから、

ポーン、ポーン、ポーン…

という音が何度もするようになりました(TVでよく聞く緊急地震速報の音ではなかった)。

 最初、Wi-Fiが弱くて警告音が出ているのかと思ったのですが、何気なくスマホを見てみると…

 えーっ…震度7…どこ…

 慌てて防災速報を開きました。この音はPCの緊急地震速報の音だったのでしょうか。

 バレエは1幕の途中で中断してしまいました。

 友人、知り合いに石川県在住、ゆかりの人は多くいます。普段別の所に住んでいても、お正月で帰省している人も多くいるでしょう。彼らの顔が頭に浮かびました…

 多くの人が楽しみに待っていたお正月元旦…一瞬にして日常が奪われてしまったのです…

 茫然として、声が出ませんでした。

 能登半島地震に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。昨日、今日とTVに映る現地の様子に本当に心が痛みます。一日も早く日常が戻りますように心から願っております。

 

 心を痛めながらこのブログの更新をしていると、東京にいる妹からLINEが…

「飛行機乗ってないよね」

 何と羽田空港で飛行機が火災…しかも頻繁に使うJALの新千歳発羽田行きの便です。慌てて乗っていないと返信を書きました。

 

 本当に物凄い年明けです…

 

良いお年を!

 いろいろあり過ぎて必死で突っ走っていたらいつの間にか大晦日、という感じです…

 

 今年が始まるとき、「自分の気持ちを立て直して8月のリサイタルを迎える」という目標を立てました。昨年8月に父が亡くなって、リサイタルも延期したので、まずこのリサイタルをきちんとできるようにしようと思ったのです。

 結果は…自分のできることはすべてやったと思います。ただ、通常のリサイタルよりもはるかにたくさんのエネルギーが必要だったので、終わった後少なからず気も抜け、体調も崩れました。

 その後プレトニョフを聴きに東京へ行って、その帰り「東京、札幌鉄道旅」を決行し(10月1日、6日、9日の記事参照)、その後自宅の工事(外壁、屋根、キッチン)で、必死で予定をこなしていたら年末がきていました。

 

 秋以降コンサートの方はとても少なかったのですが、来年に入るとまた忙しくなります。3月17日に教室の発表会、5月に2台ピアノのコンサートが東京で予定されています。また、今年のリサイタルプログラム「いろいろな舞曲たち」は舞曲の面白さがわかってきて、もう少し勉強してみたいと思うようになりました。来年もう一度何らかの形で演奏する計画を建てているところです。正式に決まりましたら、またこのブログでもお知らせいたします。

 あと来年は他の楽器や声楽などとの共演も復活させたいので、少し動いてみる予定でいます。

 

 今日鏡餅を飾りました。お餅や装飾品と一緒に願い事を書く絵馬が入っていましたので、さっそく書いて飾りました。

 やはり「健康」が一番大切ですね…

 

 皆様、どうか良いお年をお迎え下さい。

パーヴェル・ネルセシアン、ピアノリサイタル(YouTube)

 我が師匠、パーヴェル・ネルセシアン氏のリサイタルが12月26日、モスクワ音楽院小ホールで行われました。

 今年の8月に彼が私のリサイタルに来てくれたときに日時を聞いて、もしそれまでに戦争が終わっていれば、またあの伝統ある空間で彼の演奏を聴きに行きたいと思っていました。毎日彼のYouTubeを聴いている母も一度モスクワで彼のコンサートを聴くことを夢見ていたので、母も連れて行きたいと思っていたのですが、その願いは今年もかなわず、オンラインでの視聴となりました。

 

 今年のプログラムはオール・ショパン、昨年のモーツァルト、フランスバロック作品、プーランクのプログラムとはガラッと雰囲気の変わったプログラムです。

 ショパン

 3つのノクターン 作品15

 舟歌 作品60

 スケルツォ第4番 作品54

 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22

 4つのマズルカ 作品67

 3つの新練習曲

 バラード第3番 作品47

 バラード第4番 作品52

 

 私が一番印象に残ったのはマズルカポロネーズ、私自身8月のリサイタルで舞曲に取り組んだとき、徹底的にリズム感のことを言われましたが、やはり見事でした。マズルカのリズムのしなやかさ…そして「アンダンテ・スピアナート…」はポロネーズのリズムを厳格に守っているのが感じられました。

 何かゆるぎないものを感じます。祖国ロシアが全世界を敵に回すようになってまもなく2年、そんな中でのモスクワでのソロリサイタルはいろいろな思いがあったでしょう。

 彼にレッスンを受けるようになって12年…今までレッスンで言われてきたこと、レッスン以外でいろいろ話したこと、彼の演奏を聴いていて感じたことなどが凝縮された1時間半だったと思います。

 

 またあの場所で聴ける日が果たして来るのだろうか…うちの母がモスクワで彼のコンサート聴くのが夢だと話すと、彼はとても喜んでいました。ただ、母は今年米寿を迎えたので、今すぐであればまだ行けるかも知れませんが、だんだん厳しくなってくるでしょう。とにかく一刻も早く戦争が終わって欲しい。来年の12月の彼のコンサート(毎年12月にモスクワでのソロリサイタルがあるようです)は母と一緒にモスクワで聴くことができますように…

 

 祈る思いで今日の仕事納めを迎えました。もう彼のレッスンについて行けないと思ったほど苦しかったこともあったのですが、来年も何とか頑張って、この偉大な師匠の背中を追いかけていけたら、と願っています。

 


www.youtube.com

 

年末年始、1月の予定

 ついに今年もあと10日となりました。明日は冬至、一年で一番暗い時期、街のあちこちにイルミネーションが輝く頃となりました。

 クリスマス、年末年始と楽しい予定が一杯の方も多いことと思います。

 

 年末のレッスンは、28日(木)までです。発表会に出演予定で申し込みがまだの方はこの日までに申し込みをお願いいたします。

 2024年のレッスンの開始は1月5日(金)です。

 その後の1月のお休みは、

    7日(日)

   14日(日)

   21日(日)

   28日(日)

です。

 8日(月、祝日)は通常通りレッスンがあります。

 

 多くの人が移動する時期に心配されているのがインフルエンザです。学校では学級閉鎖、学年閉鎖が相次ぎ、教室でも今週は毎日誰かが発熱してお休みしています。実は私も昨日(水曜日)のレッスンの後猛烈な寒気に襲われ、これはインフルだと覚悟をしたのですが、家に帰ってきて家の中も布団もとことん温めて一晩寝たら治っていました。

どうやら寒さと疲れで体調が狂っただけだったようです。         

 仕事をしている人の多くがそうであるように、年末年始を控えたこの時期にお休みしてしまうと後が大変なので、とてもホッとしました。何とかあと一週間予定どおりレッスンしたいところです。

hitaruバレエプロジェクト「くるみ割り人形」

 もう一週間前になってしまいましたが、先週末の9日(土曜日)にhitaru(札幌文化芸術劇場)にて行われたバレエ「くるみ割り人形」の公演を観に行きました。

 この公演はhitaruが主催し、地元のバレエ団体や実演芸術家の協力を得て行う公演で、主な役の一部はゲストダンサーを招聘していましたが、その他の出演者は北海道のバレエ団体からオーディションで選ばれた人達でした。

 9日昼、9日夜、10日の3回公演で、チケットはすべて売り切れ、うちの生徒さんでも観に行きたかったのにチケットが買えなかった人が何人かいました。3回の公演がすべて売り切れるほど札幌でバレエを観る人が増えてきたということは、とても喜ばしいことであると思いました。

 

 私は土曜日の教室のレッスンを終えて、9日の夜の部を観ました。

 主役やソリストだけではなく、コールド(群舞)の隅々までよく鍛えられたテクニックとしなやかな音楽性が感じられました。私の通っているバレエスタジオの先生の何人かのお顔も見えました。その他にも教室を開きながら舞台に立っている方々がたくさんいました。教えながら自らも研鑽してこのオーディションに臨み、舞台に立つことは簡単なことではないと思われます。心から尊敬の念を感じ、自分も頑張らなければと思いました。

 

 主役のアマンディーヌ・アルビッソンとマルク・モロー(パリ、オペラ座)は、舞台での佇まいや踊りのラインの美しさが強く印象に残りました。彼らと同じ舞台に立った子供たちや若いダンサー達にはさぞかし大きな刺激となったことでしょう。

 

 この公演に、2年前までうちの教室にピアノを習いに来ていた生徒さん(男子)が一幕の兵隊の役と2幕の花のワルツのミニソリストで出演していました。ピアノのレッスンに通ってきていた頃からバレエへの並々ならぬ意欲を見せていましたが、今回晴れてオーディションに合格し、出演が決まったそうです。

 兵隊の方は化粧が濃かったのでオペラグラスで見てもわからなかったのですが、花のワルツの方はすぐわかりました。真剣な表情で相手役の女性ダンサーをサポートしていました。大きく成長した姿を観ることができて感無量でした…

 まだ彼がピアノに来ていた頃、レッスンで何か反抗的なことを言った彼に(何を言ったかは記憶していないのですが)私は、

 「あなたの手は将来女の子を支える手だよね」

と言ったことがありました。すると彼は黙ってそのまま練習を続けました。

 今まさにそのとおりになったのです…

 

 この公演は23日からHTB onライン劇場で配信が行われるそうです。

 今回一緒に行った母と「絶対もう一回観たいね」と話しています。

 今回チケットが買えず観ることがかなわなかった方のために配信のチラシも載せておきます。