ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ロザリン・トゥーレック

 今月初めに帯状疱疹を発症し、やっと今週からレッスンに復帰して4日がたちました。先週の今頃は完全に寝て暮らしていたのですが、そのツケは大きいもので、まだレッスンの後の疲れがひどく、夜になって疲れがたまると痛みが出てくるという繰り返しになっています。しかし、先週に比べると良くなっていることは確かなので、こうやって少しずつ少しずつ回復していくのでしょう。

 そんな痛みのひどかった日々を癒してくれていたのがアメリカのピアニスト、ロザリン・トゥーレックのバッハのCDでした。

 

 2016年に師匠、パーヴェル・ネルセシアンのレッスンを受けにボストンへ行ったとき、バッハの曲も持って行きました。ちょうど右手の怪我から復帰して基本に立ち返りたいと思っていた私は一番怖い人のところにバッハを持って行こうと決心したのです。結果は素晴らしいもので、もっとバッハを弾いてみたいと思えるほどになったのですが、そのときに彼が聴いてごらんと薦めてくれたのがロザリン・トゥーレックのバッハの演奏でした。

 それまで私は彼女のことを全く知りませんでした。まずウィキペディアを見てアメリカ人だということを知りました。ロシア人のパーヴェルがなぜアメリカ人のバッハなのだろう、と思いながらYouTubeで何曲か聴いてみて、その演奏に強く惹かれました。

 その後しばらくして渋谷のタワレコでロザリン・トゥーレックのバッハのCD全集を見つけてすぐに買い求めました。

f:id:nakazoey:20191219220630j:plain

 平均律ゴルトベルク変奏曲フランス組曲…時間があったので次々と聴いた中で私が一番好きなのが「パルティータ第3番」、パーヴェルのレッスンでバッハの古典舞曲のリズムの表現に苦労していた私…その舞曲のリズム感が見事で惹きこまれました。なぜ彼が私にこれを聴くことを薦めたのかよくわかりました。

 

 今年は特に慌しい日々が続いたため、ゆっくりCDを聴くということもあまりできていなかったような気がします。帯状疱疹がもたらしたつかの間のお休みは、怪我の功名だったのかも知れません。