ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

メロデクラメーション

1月22日(金)に日本アレンスキー協会のコンサート「露西亜音楽再発見」に出演します。ロシア音楽の隠れた名曲が多数演奏されますが、その中で特に珍しいものが、私が演奏する「メロデクラメーション」という曲だと思います。(ロシアでも演奏されることは少ないそうです)
メロデクラメーションとは詩の朗読とピアノの共演で、多分ロシア語のмелодия(メロディー)とдекламация(朗読)を合わせた言葉だと思われます。今回演奏されるのは、アレンスキーの「3つのメロデクラメーション、作品68」から、第1番「薔薇は美しかりき、鮮なりき」と第3番「ニンフ」(詩はツルゲーネフ)の2曲です。

このような貴重な機会を頂いたので、私の中ではこの詩をよく理解してより良く演奏したいという欲求が生まれました。
8月に詩だけを書いたものを送って頂きました。ちょうど9月の終わりにロシア領事館で「詩のつどい」があったので、そのときに両方暗記して読もうと思っていました。
しかし、右手を怪我をした後の両手での舞台復帰の時期と重なってしまい、そちらに全エネルギーを注ぐことになってしまったため、1曲目の「薔薇は美しかりき、鮮なりき」を見て読むのが精一杯…「ニンフ」は全部訳すことも出来ずに終わってしまいました。自分の限界を知ったようで、何とも悔しくやりきれない気持ちでした。

この悔しさを晴らすためには何としてでも両方きちんとマスターしたいと思いました。詩の内容で曲の表情もいろいろ変わるので、やっぱり詩がわかっていないと曲をどう表現するかはさっぱりわからないのです。
「ニンフ」の方はまだアクセント記号(ロシア語ではアクセントが非常に大切、これを間違えると通じないことが多い)もつけていなかったので、移動の飛行機の中でロシア語の先生が録音してくれた朗読(これが素晴らしい)を聞きながらまず印をつけ、繰り返し読むのと運転中に録音を聞くことの繰り返しです。このためいつも車内で聞いていたラジオのロシア語講座はこのコンサートが終わるまでお休みです。
去年のうちはいろいろあってほとんど出来なかったので、年明けから必死でやり、ようやく私には曲と詩のつながりが少し見えてきました。22日までまだまだ未完成な部分をやらなければなりません。

ロシア語の詩の朗読は非常に響き美しく、ロシア語がわからなくても詩と音楽の深いつながりがわかると思います。
多くの方に聴いて頂ければ、大変嬉しく思います。