ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

レッスンにおける言語の問題

 今まで、私は何人かのロシアの先生にレッスンを受けてきました。最近は幸運にもパーヴェル(ネルセシアン)に何度かみてもらうことができました。レッスンを少しでもよく理解するためにロシア語はできる限り頑張ってきたつもりです。

 しかし、このことで思いがけない問題が発生することになりました。

 彼は日本でもトップクラスの生徒をたくさん教えてきた実績があり、私のレッスンのときも聴講希望者がたくさん集まってしまうのです。
 今では彼との会話はロシア語で不自由なくできるようになりました。(レッスン以外で話すことも爆発的に増え、次から次へと喋り続ける彼についていくのは大変です…)しかし、聴講する方の中にはロシア語がわかる人は誰もいませんでしたので、通訳が入ったり、彼自身が自分で言ったロシア語を英語に訳しながらレッスンを進めたこともありました。
 2人きりでレッスンをしているときはツーカーで話が通じ、たくさん怒られたけれどとても集中してレッスンに臨め、自分の演奏がぐんぐん変わっていくのがわかりました。次々といろいろな曲の例をひいて説明してくれ、イメージをいっぱいにふくらませてくれるレッスンはまさに私の望むところだったのです。
 しかし、どうも私は通訳が入ると気持ちが落ちてしまい、どんなに引き上げようとしてもうまくいかずに苦しい思いをすることになるのです。

 私は彼の母国語がわかるのになぜ…

 通訳が入らなければ、もっと時間があるのに…

 私自身、彼のレッスンを聴講するのはとても楽しく、勉強になることばかりで、自分の教室の生徒さんのレッスンにもたくさん役に立っていることがあるので、聴講の人は入らないで欲しいと頼むことにも罪悪感があります。

 しかし、ロシア語が話せることが逆に仇になってしまっている今の状態には何か納得できないものを感じます。
 このあたりは実に難しい問題です。

 今後、彼のレッスンをどうするかはしばらく考えたいと思っています。