ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ピティナ ピアノフェスティバル

 日曜日、生徒さんが出演する「ピティナ ピアノフェスティバル」を聴きに行ってきました。
 このコンサートはピティナのコンペ、検定で優秀な成績をおさめた人達が年に1回KITARA大ホールで演奏するものです。
 演奏は朝から、年少の人達から始まりました。

 私は主にD,E、F級を聴きました。D級は中2以下、F級は高3以下です。
 このレヴェルになるとただ弾くというだけではなく、基本的なことを踏まえてた上で自分で考えて演奏することが求められます。
 
 指が回るということに関しては皆、なかなかレヴェルの高いものがありました。ミスも少なく非常に整った演奏をしている人が多かったです。
 しかし、私が感じたことはこの曲を仕上げることだけに勢力を使っていて、基本的なことが今一つできていない人がときどき見かけられたということでした。
 まず左手と右手のバランス、リハーサルなしでフルコンを弾くと、ピアノの左側が長いため左手の伴奏ばかりが大きくなってしまいます。いきなり弾いてそのあたりをきちんとコントロールするのはなかなか大変なのですが、普段のレッスンから自分の音をよく聴く習慣をつけ、いきなり舞台に上がってもコントロールできるように訓練する必要がありますね。指導者の日頃の指導も大切だと痛感しました。
 あとバッハのフーガなどで、主要なテーマがどこで、どの声部で出てくるのか、きちんとわかって演奏することも大切だと感じました。

 うちの教室でもコンクールを頻繁に受ける生徒さんは、ずっと課題曲だけをこなしていて、基本的なエチュードやバッハなどがなかなか進まないということがよくあります。課題曲に出てくることはよく身につきますが、他の面を訓練するエチュードを勉強する暇がないこともあります。バッハも同様でフーガやインヴェンションにもいろいろな形のテーマが出てきます。その中にはピアノを弾く上でマスターしておかなければならないことが多くあります。
 ですから、インヴェンションが全部終わらないうちに平均律に入るのはやはりどこかで無理があると私は考えます。
 しかし、実際は課題曲に追われるとどんどん難しい曲へ行ってしまい、取り戻すために少しコンクールをお休みして基本的なことをやろうと思っても、本人のモチベーションが下がってしまうこともあります。
 そのあたりは指導者としてどうしたら一番良い方向に行けるか、私が研鑽が必要だと思っています。

 ところで、書き忘れていましたが、10日に行われたバッハコンクールの札幌予選で生徒さんが優秀賞を受賞し、東京での全国大会に出場することになりました。
 この日はちょうどパーヴェル(ネルセシアン)の八王子でのコンサートの日…終演後、打ち上げに向かう車の中でメールを見て、嬉しくて彼にも話してしまったのですが、彼もとても喜んでくれました。
 幾多のトップクラスの生徒を指導する彼も「バッハは本当に難しいよね」と言って、ひとしきりバッハの話に花が咲いてしまいました…