ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

怪我の功名

 3月の終わり ヘルニアの痛みで筋肉が硬直してしまってピアノの練習がが思うようにできなくなったときがありました。(痛みに耐えるよりもこちらの方が精神的にきつかった)父に動きにくいところをとにかく動かすようにと言われ、毎日練習はしていましたが、基礎練習を30分もやると手が痺れてきて、このまま元に戻らないのではないかと非常に動揺していました。

 そんなある日 ピアノを弾いているときの自分の手の向きが正しくないことに気が付きました。鍵盤の上の正しい手の向きは 指先がほんの少し外に向くところです。その手の向きがめちゃくちゃになっていたのです。

 まずこれを直してみよう…

 手の向きに気をつけると腕から肩にかけての余計な力が抜け、腕の目方が鍵盤にダイレクトにかかるようになり、手の痺れが軽減されてきました。

 どうしてもっと早く気がつかなかったんだろう…

 少しでも手の向きがおかしいとたちまち痺れてきます。私は毎朝鍵盤の上の自分の手に全神経を集中していました。

 そして1ヶ月ほどたった4月の終わり 手の痺れは嘘のようになくなって、ヘルニアになる前よりも厚い和音が楽に弾けるようになりました。気がつくと肘から手首の間には筋肉がびっしりついていました。

 これぞ怪我の功名…

 年を重ねてくるとどうしても体が硬くなってきます。若い頃は楽に指が動いたのに…と思っている方もいらっしゃることと思います。そんなとき 余計な力を入れないで鍵盤に腕の目方がダイレクトにかかる弾き方を習得していれば、楽に弾くことができます。
 うちの教室の大人の生徒さんの中には 自分と同年代の方も年上の方もいらっしゃいます。年は皆 平等にとっていくのだけれど、そんな中で末永くピアノと付き合える弾き方をお伝えしていきたいな、と考えているこの頃です。