ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

暗譜の後にするべきこと

 教室の発表会があと1カ月と少しと迫って来ました。出演者の生徒さんは現在 曲を暗譜で弾けるように練習している人が多いのですが、この暗譜 一度できてしまったらもう楽譜など必要ないのではなく、常に見直して 見落としがないかチェックしなくてはならないものなのです。
 集中して練習していれば、音を覚えることはさほど大変ではありません。中には譜読みができた時点で暗譜ができてしまう人もいます。しかし 楽譜に書いてある細かい強弱記号、表情を表す記号などをを残らず暗記してそれが演奏に反映できるようにするのはなかなか大変なことです。

 若い頃 急に仕事が増えてキリキリ舞いをしていたとき(本当に有難いことだったのですが)、私は常に乱雑極まりない暗譜をしていました。今考えるとよくあれで舞台に乗せていたと思うほどです…目先の舞台をこなすことに精一杯で楽譜をきちんと見ることなど考える余裕がなかったのかも知れません。
 その後病気をして舞台を休むことになり、空いた時間ができたときに私はこの問題に初めて正面から向き合うことになりました。以前に弾いた曲の楽譜をゆっくり見てみるといかにたくさんの見落としがあったかを思い知らされました。

 昨日 ヨールカ祭で弾いたチャイコフスキーの「四季」は、実はその週になって急に頼まれたものでした。何度も弾いているレパートリーですが、こういうときはより一層楽譜の入念なチェックが必要になります。
 当日 私は予定より30分早く起き、ウォーミングアップのあともう一度楽譜を見ながらゆっくりさらってみました。自分で書いた書き込み、タチヤーナ・ニコラエヴナの書き込み、日本の先生の書き込みなどをすべて見直してから出かけました。

 発表会出演者の皆さん 暗譜した後楽譜はいつも見直すのを忘れずに、そして くれぐれも当日楽譜を忘れないようにして下さい…