「先生、世の中で一番大切な物って何だと思う?」
教室に入って来るなり私にこういう質問を投げかけたのは小学校2年生の生徒さんでした。
突然のことで私はちょっと驚きました。学校の授業でこういうことをクラスで話し合ったりするにはまだ幼い感じがするのですが、お家でこんな話になったのでしょうか…
「私は、一番大切なものはお金だと思うの…」
彼女は小学校に入ってから毎月お小遣いをもらうようになったそうです。お金がなければ生活に必要なものは何も買えないということを知って、「お金は大事だ」という思いが芽生えたようです。
「先生は何だと思う?」
と聞かれてもとっさには答えられません。ただ、真剣に尋ねている彼女の心に残るような答えを返してあげたい、と思いました。
少し考えてから私は、
「先生は一番大切なものは家族だと思うよ。」
と返しました。
これは私にとって本音でした。昨年、私は父を失い、家族の何物にも代えがたい大切さを身をもって知ったのです。
すると彼女は、
「やっぱり家族だね。わたし、パパやママや妹がいなくなったらとても悲しい。」
このやり取りは彼女の心に深く残ったようです。
子どもたちはこうして一つ一つのことをいろいろ考えながら心も体も成長していくのでしょう。皆が健全な心身を育んでいくことを心から願う今日この頃です。