ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

アリ騒動

 我が家は札幌市郊外の自然豊かな山の近くにあります。春になって暖かくなってくると毎年悩まされるのが虫…自然豊かであれば当然虫は多いわけですが、実は虫は大大大苦手なのです…
 毎年、虫の薬にはかなりのお金を使っているのですが、今年は思わぬ盲点をつかれました。

 この時期に一番出てくるのはアリ…毎年4月下旬になるとホームセンターにアリの薬を買いに走ります。今年はちょうどこの時期が東京、八王子のデュオリサイタルの直前…猛烈に忙しい時期でしたが、アリの方は待ってはくれません。薬を買いこみ、玄関から1階を中心に網の目のように置きました。
 今までアリは2階にはあまり出なかったので2階は少々手薄でしたが、これが失敗の元でした。

 先週、寝室のドレッサーのところで出かける準備をしていると…

 いる…

 ドレッサーから15センチほどのところで絨毯にわずかな割れ目があってそこからゾロゾロと出て来ているのです…
 とっさに1階から薬を一つ取って来て割れ目のところに置いて出かけました。
 その日、レッスンの帰りに12時までやっているドラッグストアに寄って、また大量に追加の薬を買って帰りました。

 家に帰って見てみると、ひとまずいなくなっていたので、買ってきた薬を追加してすぐ休みました。今まで寝室はアリが出たことがありませんでした。しかし、またどこかに出てくるのではないかと思うと、身体中がかゆくなり、その晩はなかなか寝付かれませんでした。
 数日後、寝室の掃除をしていたときに、あと1か所アリの穴らしきものが見つかったので、そこにも薬を足しました。それから今のところは出ていません。どうかこのままいきますように…

 アリと格闘しながら、以前ここに来ていた生徒さんのことを思い出しました。高校2年までレッスンに来ていた彼女がまだ小学校低学年の頃、学校でアリの生活について学習したのだそうです。授業で習ったことを細かく話してくれた後、彼女はこう言いました。

 せんせい、ありさんってとってもかしこいの…だからせんせい、ありさん殺さないでね…

 彼女にとってそれはとても興味深かったのでしょう。しかし、このときも5月、だからと言ってアリとの闘いをやめるわけにはいきません。翌週のレッスンのときには玄関に置いてある薬を隠さなければなりませんでした。

 現在、彼女は国立大学の大学生、昨年入学して初めて一人暮らしを経験し、一人暮らしのワクワク感と親の有難みを同時に感じることになったようです(私もかつてそうでしたね)。あのときの好奇心を忘れずにいろいろなことを貪欲に吸収し、勉学に励んで欲しいと願っています。