ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

パーヴェル・ネルセシアン日本公演ツアー終了

 このブログでも何度もご案内してきたパーヴェル・ネルセシアンの日本公演ツアー、一昨日すべての公演が無事終了いたしました。どの公演も盛況で、彼の魅力があますところなく発揮されたコンサートだったようです。
 今回10回の日本各地での公演のうち半分の5回を聴きました。私が聴いたのは、10月17日苫小牧、18日札幌、19日帯広、23日東京、24日金沢です。
 6年前の2011年、彼の札幌公演を聴いたとき(奇しくもちょうど6年前の10月26日でした)、彼の音が何日も耳に残って離れませんでした。確かその翌日釧路、翌々日に帯広公演があったのですが、別のスケジュールが入っていて聴くことができませんでした。そしてこれらの彼のコンサートを予定に入れておかなかったことを非常に悔やむことになりました。(結局、このときのコンサートを聴いたことが彼のレッスンを受けるきっかけになりました)
 
 この次の彼の全国ツアーのときはできるかぎりたくさんの公演を聴こう…

 6年待ってそのときがやってきたのです。

 当然、前後のスケジュールは地獄のような忙しさになった上、23日の東京公演の日は新千歳空港が雪と台風からくる暴風雪で飛行機の出発が2時間近く遅れ、ハラハラしたのですが、何とか踏ん張って今日札幌に戻ってきました。

 今回のプログラムは、
   K.Ph.E.バッハ  ロンドト長調 作品57-3
           ソナタヘ長調 作品63-6
           メヌエット  作品116-7
   ベートーヴェン ピアノソナタ 第23番「熱情」 作品57
カプースチン  古典様式による組曲 作品28
   プロコフィエフ 「ロメオとジュリエット」からの10の小品 作品75
 それぞれ全く違う性格の作品の対比が際立っていて、改めて彼の中の引き出しの多さを感じることになりました。
 私が5回聴くと言ったら彼は驚いていたのですが、「あなたが退屈しないように弾き方を変えなければ…」と言っていました。半分冗談かと思ったのですが、実際聴いてみると公演によって強調する声部や音色、テンポなどが微妙にが変わっていて「こういう可能性もあるのだ。正解は一つではないのだ」と目を開かせられる思いでした。

 一昨日、最終の金沢公演を終えて、このツアーの間中緊張した表情を崩さなかった彼はとても穏やかな表情になっていました。

 昨日は主催者での歓送会に出席しました。今回聴いた人皆がこの先彼がどんなプログラムを弾いていくのか、ますます目が離せないような気がします。