ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

アメリカだより2016 第3回(全5回)

 前回の続き  
   
   10月14日(金曜日)
 10時半頃宿を出て、地下鉄を乗り継いでニューヨーク行きの列車が発着するボストン、サウスステーションに向かいました。
 列車はアセラ特急、ワシントン行き、12時10分ボストン発、3時45分ニューヨーク、ペンシルバニア駅(通称Penn Station)着、列車大好きな私はもうワクワクでした。
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 最近事故やテロがあったアメリカの鉄道、車掌さんは細かく神経を行き届かせているのがわかりました。
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途中の景色も楽しい。森があったり、平原があったり、そして、生まれて初めて見るアメリカの景色…
 レッスンの緊張から解放された私はのんびり(あとがこわい)…あっという間の3時間半でした。
 ニューヨークに到着後、Penn Stationの中のスタバ(スタバにはよくお世話になりました。翌日の朝食もスタバだったし、ボストン大学の向かいにもありました。ロシア語ではスタルバクスとなり、ちゃんと格変化もします)で食事、パニーニを食べていると物乞いの人がやって来ました。しばらくするとまた…(もちろん断りました)
 物乞いをしなければ生活できない人達、そしてその横を高級ブランドに身を包んだ人が通り過ぎて行くのです。
 これぞ格差社会…犯罪が多いというのも納得できます。
 「Penn Stationは危ないからしっかりバッグを押さえていなさい」
とバーヴェル(ネルセシアン)にも言われました。言われたとおりお金は幾つにも分け、使わないクレジットカードは身につけ、万全の体制でここに来たつもりでしたが、思わず足がすくみました。
 お腹がいっぱいになったところで地下鉄でホテルに向かいました。
 ニューヨークの地下鉄…怖いことをいろいろ聞いていました。実際聞いたようなことは何もありませんでしたが、正直言ってガラが悪い。食べ物や飲み物をムキ出しで持って乗って来る人もいます。座席に飲み物がこぼれていて座れないところもありました。そして電車は超満員…モタモタしていると吹っ飛ばされそうで、路線もあまりわかっていない私は緊張しました。
 この日の宿はタイムズスクエアの真ん中のマンハッタンホテル、慌てて予約をした割には手頃な値段で良いホテルだったのだが、部屋に入ると何だか寒い…
 エアコンの温度設定を25度にしてみたが、いつまでたっても風が暖まってこない…
 この日のニューヨークは最高16度、最低8度くらいだったと思うが、この温度でもアメリカでは冷房が入っているのです…部屋のエアコンを切っても廊下から冷気が忍びこんで来ているのです。
近くのカフェで夕食を食べ、ホテルの隣のお土産屋さんで買い物をして戻った後、思いついてお風呂に入りました…
 充分暖まって出てきたが、しばらくすると冷めてしまってまた寒い…
 重い荷物は嫌だったので、ニューヨークには最低限のものしか持って来ていませんでした。日本人の中でも寒さに弱い私が日本から持ちこんだあったかグッズはすべてボストンに置いて来てしまったのです。死ぬほど後悔しました。
 これではとても眠れないので、私は着て来た洋服をすべてベッドの上に積み上げました(ロシアでもこんなことをした覚えがある)。それでもまだ寒かったので、余った3つの枕をその上に積み上げてようやく眠りました。
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   10月15日(土曜日)
 寒さで朝早く目覚めて、何か暖かいものでも飲もうと思ってホテルの給湯器を探しに行ったのだが、何と故障…ロシアでもホテルの備品が壊れているのはよくあることなので、何とも思わなかったのですが、暖かい飲み物にフラれ、身体はいよいよ冷えてきました。(このブログを書いている今もまだ治っていない強力なアメリカ風邪菌による風邪は多分この一夜でかかったものと思われる)
 朝食を食べてもまだ寒いので、早々とホテルをチェックアウトしてエンパイアステートビルに行くことにしました。
 とにかく激コミ…でも人熱で暖かくなりました。
 ここは空港並みのセキュリティチェックがあります。やっぱり上で爆発などがあったら間違いなく大惨事になるからでしょう。ここをくぐった後、まず80階の展望台まで高速エレベーターで行って、
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その後86階の屋外の展望台、
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そしててっぺんの102階まで行きました。エレベーターに乗るたびに並んで並んで、登って降りてくるまで2時間…子供の頃、叔父にエンパイアステートビルの話を聞いて「102階なんてスゴイ」と思った場所に確かに自分が立った感激はやはりありました。
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エンパイアステートビルにいた間は暖かかったのですが、外に出るとまた寒い…
パーヴェルはこうも言っていました。
「街を見るのに疲れたらおしゃれなカフェで休むといい。アメリカの空気に触れてごらん…」
 おしゃれなカフェも寒いのではないか…

 

 エンパイアステートビルを出て少し歩くと、私はコリアタウンのようなところに入りこんでいました。

 

 あったかい汁物が食べたい…

 

 迷わず通りかかった韓国風ラーメンの店に入りました。(おしゃれなカフェとはほど遠いところでのニューヨーク唯一のランチとなりました)
 唐辛子が一杯の韓国風ラーメンで暖まった私は元気を取り戻してまた地下鉄に乗り、ニューヨークシティーバレエの公演が行われるリンカーンセンターへ向かいました。

 

 ニューヨークシティーバレエの本拠地、デイビッド H. コックシアター(リンカーンセンター内)、3階席だったけどまあまあ観やすいところでチケットは65ドル(約6500円)、
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プログラムは以下のとおりです。
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今までロシアのバレエはたくさん観ましたが、アメリカのバレエを生で観るのは初めてでした。
ロシアはエモーショナルなものを表に出す感じがしていましたが、アメリカのバレエはシャープさを強く感じます。その違いはそれぞれのお国柄を表していて、それぞれに違う魅力があると思いました。とてもエキサイティングで惹きこまれました。今後ニューヨークシティーバレエの公演をもっとたくさん観ていきたいです。

 

 バレエが終わった後、すぐ地下鉄でPenn Stationに向かいました。
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帰りは5時25分Penn Station発、9時35分ボストン、サウスステーション着、Northeast Regionalという列車でウィリアムズバーグ始発、ボストン行きです。こちらの方がアセラ特急より安かったのだけど、時間も余計にかかります。
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日が沈んでしまうと景色も見えなくなってつまらないなあ、と思っていると、何だかとても眠くなってきました。前夜あまり寝ていないので無理もありません。
 寝てはいけない…なにかスリ取られたら大変…
 必死になって眠気と闘っていると、前の席のおニイちゃんが携帯でロシア語で話しているのが耳に入りました。その話の内容がちょっとヤバい内容…彼は周りはわからないと思って話していたのでしょうが、まさか後ろの席の東洋人に話の内容が筒抜けだとは思ってもいなかったでしょう。

 

 10時少し前、予定より20分ほど遅れて列車はボストン、サウスステーションに到着しました。パーヴェルは一つ手前のBack Bay駅で降りてCopley駅まで歩くと10分早く帰れると教えてくれたのだけど、夜遅いので人目のあるところを帰った方が良いと思い、地下鉄レッドラインとグリーンラインを乗り継いで帰ってきました。
 11時過ぎにボストンの宿に戻ると全身の力が抜けました。
 あったか〜い…これぞ日本人仕様です…

 

 翌日からパーヴェルのレッスン後半が始まります。