ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

復帰コンサート

 一言で言うと「苦しかった」です。昨日の本番当日だけではなく、昨年暮れに曲目を決め、2月に合わせ始めてからずっと不安に苛まれ続けました。

 今回バッハを選んだのは ごまかしのきかない曲で自分のテクニックをきちんと演奏できるまで引き上げることを目標にしたからです。
 どれだけできるかわからなかったけど、ピアノのタッチやテクニックの練習はこれ以上ないくらいやりました。

 それでもさらってもさらってもこみ上げてくる不安…休んでいたのだから仕方がないのだけど…
 疲れ果て、消耗したけれど前に進むしかありませんでした。

 昨日 楽屋に入ったとき私は、しばらく黙って座っていました。
 この3年間のことが次々頭に浮かんでは消えました。

 痛み止めを飲まなければ耐えられなかった日々…

 ピアノよりタッチの軽いキーボードを弾いても激痛が走った手…

 ここに自分がいることが信じられない思いでした。

 演奏中の記憶はほとんどありませんでした。緊張の余り手が痺れ、必死に動かしていました…でも客席で聴いてくれた方によるとクリアに音が出ていたそうです。
 それを聞いてとてもほっとして肩の荷がおりた気持ちになりました…

 今回のコンサートに際して 病み上がりの私の練習につき合ってくれたパートナーをはじめ、弾けなかった間 私を支えてくれた周りのすべての人、「復帰を待っています」とメールやお手紙を下さった方 有難うございました。

 今後少しずつ慣らしながら舞台を増やしていきたいと思います。