ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

語学で大切なのはやめないこと2

 ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年9か月が過ぎました。早く戦争が終わって欲しいという願いもむなしく、いつ果てるともない戦闘が日々続いています。

 日本での人々のロシアに対する目は、ウクライナ侵攻が始まった当初ほどではなくても相変わらず厳しく感じます。今年の札幌でのリサイタル(8月12日)の記事を毎日新聞に載せて頂いたときも、今このような時代にロシア音楽をレパートリーの中心にしてきたことを不特定多数の人が読む新聞という媒体にどう載せたらよいのか非常に悩みました(記者さんは最後まで細かく訂正に応じて下さり、とても感謝しています)。

 教室の体験レッスンでもロシア音楽を研究の中心としてきた私の経歴によって、入会を取りやめたと思われるケースが発生しています。

 国家と芸術を取り巻く問題をどう考えたら良いのか、混乱は深まる一方です。

 

 それでも今年は、私の師匠パーヴェル・ネルセシアンとアンドレイ・ピーサレフが講師をつとめていたカワイのマスタークラスも復活し、ロシアの世界的ピアニスト、ミハイル・プレトニョフの「ラフマニノフ協奏曲全曲演奏会」(もう凄かった…完全に魂を抜かれました)も大盛況の中で終了し、ロシアの芸術家のコンサートやマスタークラスは普通に行われています。

 8月の私のリサイタルのとき、カワイのマスタークラスの後札幌まで聴きにきてくれたパーヴェルは、リサイタルの翌日実家(白石教室)に来てくれました。お茶を飲みながら母と3人でいろいろな話をして、何度かレッスンや合わせをした教室のピアノを弾いて帰っていきました。

 

 しかし、彼が帰った後、ロシアの人と会って話をする機会は全くなくなってしまいました。

 語学は使う機会がないとテンションが下がるものです。ときどきパーヴェルにメールを書くのも時間がかかるようになっていました。

 これではいけないと思い、自分の勉強法を見直すことにしました。

 毎朝欠かさず聞いていたロシアのニュースは、戦争の場面が毎日出るので辛くて見るのを避けるようになっていました。ロシアの音楽家のインタビューなどの番組でもよいのではないかと思い、YouTubeで検索して見ていました。しかしニュースを見ないと、例えばコロナ用語のような最近出てきた単語は覚えられないのです。

 やはりそれではまずいのではないかと思い、今ではニュースと音楽番組を半々くらいで見ています。正直ニュースはまだ私のレベルではきつい部分が多いのですが、やはりやめてはいけないようです。

 あと、移動の車内でまたNHKの「まいにちロシア語」の応用編を聞き始めました。今回の番組は外国人が間違えやすい文法を取り上げていて、大変役に立っています。

 

 いつ再び行けるかわからないけれど、やはりロシア語は続けます。パーヴェルはまた来年来日するので、そのときに向けて少しでも上達したいです。