ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

特別公演「リスト ファウスト交響曲 他」(4月6日、浜離宮朝日ホール)

 

 ちょうど一週間前東京へ行っていたとき、初めに浜離宮朝日ホールでリストの「ファウスト交響曲」のコンサートに行って来ました。

 演奏は桐朋学園大学の特任教授であるパスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子両氏の2台ピアノ、この曲の2台ピアノでの演奏を聴くのは初めてだったので、どのような響きになるのかとても楽しみにしていました。

 

 初めて彼らの2台ピアノの演奏に興味を持ったのは、1年ほど前に偶然村田氏の動画シリーズ「村の音楽工房」を見たことがきっかけでした。コロナ禍に入った途端に左足を骨折してしまった私がその怪我から立ち直ろうとリハビリをしていたときでした。動画で見た彼女の演奏法や音楽に対する姿勢などに共感を覚えるところが多く、この人の演奏をぜひ聴いてみたいと思ったのがきっかけでした(現在演奏活動をしていく上でインターネットがいかに大切な役割を果たしているかを痛感しています)。

 

 プログラムは以下のようなものでした。

 

 前半はソロでフランクの作品でした。実は私はこのどちらも弾いたことがありました。「前奏曲、コラールとフーガ」は20代前半の本当に若いときに、「前奏曲、フーガと変奏曲」の方は最近になって勉強しました。

 この日の演奏で特に感じたのは、1台のピアノでオルガンのような響きを出すことの大切さ、難しさだったと思います。オルガンの様々な音色が万華鏡のように1台のピアノで再現されるさまに惹き込まれ、ピアノという楽器はここまでいろいろな音色が出せるものなのかと新鮮な驚きをもって聴き入っていました。

 

 後半はいよいよ楽しみにしていた「ファウスト交響曲」、2台の音色が完全に溶け合って、壮大なオーケストラの世界が作り出されていました。ピアノは1台でもオーケストラの世界を表現できる楽器だと言われますが、2台のピアノで表現することは限りない可能性を秘めているのだと感じました。

 

 この2人の演奏でいろいろなデュオ作品を聴いてみたい、そう感じながら宿に帰りました。