3月20日に行われる教室の発表会では5人の生徒さんがピアノ協奏曲に挑戦します。プログラムは、
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 第1楽章
第21番 第1楽章
第2楽章
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 第1楽章
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 第3楽章
です。
これらのオーケストラパートはすべて私が弾きますが、はじめから2台ピアノのために書かれたものと違って、オーケストラのパートをピアノ用に編曲されたものを弾くことはなかなか難しいことです。
毎年「シゲルカワイ国際コンクール」(今年はオリンピックのため開催されないそうです)のファイナルで協奏曲の伴奏者をつとめている師匠、パーヴェル・ネルセシアンがピアノ用に編曲されたオーケストラパートをあたかも「オーケストラのように」弾くことの難しさを話してくれたことがありました。そのときは、彼のような人でも難しいものがあるのかと思っただけだったのですが、実際自分で取り組んでみると考えなければならないことがあり過ぎて、きちんと自分を支えていないとバラバラになってしまいます。
コンクールの動画を観ていて私が感じたことはまず、オーケストラパートはソロパートを弾くように弾いてしまってはいけないのではないかということです。大人数で演奏しているオーケストラは常に秩序あるテンポ、歌い方を保っています。伴奏者が過度のルバートをかけたり、歌い過ぎたりすればオーケストラの演奏とは似ても似つかないものになってしまうわけです。
パーヴェルも、もう一人の伴奏者、アンドレイ・ピーサレフもオーケストラのさまざまな音色はピアノで出しながらゆるぎない演奏でしっかりとソリストを支えている、という感じです。超一流の人は何を弾いても第一級なのだとため息が出ました。
来月弾く協奏曲の中でモーツァルトの20番とラフマニノフはピーサレフが伴奏を弾いている動画があります。
Kaho ARAISHI - The 3rd Shigeru Kawai International Piano Competition (SKIPC) | 荒石 果穂
Andrei SHYCHKO - The 2nd Shigeru Kawai International Piano Competition (SKIPC) | アンドレイ シチコ
ピアノで伴奏している動画はとても貴重です。そしてどちらも見事です。特にモーツァルトの豊富な音色が耳に残って離れず、何度も何度も聴きました。
モーツァルトの21番は昨年パーヴェルのレッスンを受けました。レッスンのときは自分のことで必死なので、あまり伴奏だけを注意深く聴くことはないのですが、彼の弾く伴奏に支えられて実に気分良く弾いていたことは事実でした。
願わくばこのように伴奏を弾きたいものですね…来月協奏曲を弾く人達が皆、気分良く弾けるように、私もできるだけのことをしていきたいと思います。