ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

自分の弾きたい曲

 コロナウィルスの感染者はお盆でも変わらず増え続けているので、教室がお休みになっても感染予防に神経をすり減らすのは変わりません。だんだんコロナ疲れがひどくなってきますね。今年はちっとも休まらないと思っている方も多いことと思います。

 今年のコンサートがすべてなくなってしまった私は自分の勉強の目標を見失ってしまっていました。今まで30年以上のほとんどをコンサートに追いかけられて過ごしてききたのです。外出自粛の期間は自分の弾きたい曲をじっくり勉強するチャンスだと思ってじっとピアノに向かっていたピアニストの友人も多かったようなのですが、私はこの時期に足を骨折してしまったこともあってすっかり気持ちが落ちてしまい、自分で弾きたいものが何もなくて悶々とする日々を送っていました。何しろモスクワどころか東京も感染者が毎日増え、レッスンに行くのは難しい状況です。

 

 8月に入ってやっと少し歩けるようになり(まだ少し不自由ですが、骨は完全についたということでレントゲン検査は終わりました。あとはリハビリのみです)、この何か月か自分は無駄に過ごしてしまったと思いました。そしてこのお盆休みの間に何か目標を見つけて勉強を再開しなければと考えました。

 師匠のパーヴェル(ネルセシアン)がオンラインでもレッスンをしているということだったので、まずこれを目標にして少し大きなプログラムを作ってみようと思い立ちました。

 

 ある晩、運転中に聴いていたロシアのクラシック音楽専門のラジオ「オルフェイ(Орфей)」の中でニコライ・ルガンスキーの弾くフランクの「プレリュード、フーガとヴァリエーション(Harold Bauer編曲)op.18」をやっていました。ルガンスキーはネルセシアンと同じドレンスキー門下のピアニストです。前に友人がこの人のリサイタルに行って「立ち上がれないほど感動した」と言っていたので、注意して聴いていたのですが、本当にすっかりこの曲にも演奏にも惹きこまれてしまったのです。

 

 YouTubeで検索してみると動画が出てきました。


Nikolai Lugansky - César Franck, Prélude, Fugue, et Variation in B minor

 

 元はオルガンの曲で、ピアノ用に編曲されたもののようです。ルガンスキーの演奏はピアノ1台で大オルガンのように様々な音色を使い分けています。しかもこの柔らかさが凄い…

 この曲をやってみよう…ネットで楽譜を探してみると割と簡単に見つかりました。

 

 このフランクを入れてその他、今年はベートーヴェンを弾いてみたくて「熱情」と30番のソナタを入れたい…あとは中止になってしまったコンサートで弾くはずだったチャイコフスキー「悲しい歌 op.72-14」「ハーブサルの思い出」もみてもらいたいと考えているところです。

 

 明日からはお盆休みが終わって教室のレッスンが始まります。秋からは自分の目標も持って生き生きとレッスンしていきたいです。