10月26日、東京、新国立劇場でバレエ「ロメオとジュリエット」を観てきました。主役ジュリエットは、昨年の札幌公演「白鳥の湖」で音楽の細部までとらえた表現とのびやかな踊りでファンになった小野絢子、かねてからこの人のジュリエットを観てみたいと思っていた私は早々とチケットを手に入れ、他の東京の予定をすべてこれに合わせて組みました。
同じ初台にある東京オペラシティには何度か行っていましたが、新国立劇場は初めて、せっかくの機会に慌しくなることがないよう、充分に余裕をもって到着しました。
2階の真ん中の前の方の席だったので、非常に良いところです。
劇場の中はこんな感じです。
ホワイエもゆったりしていて、やはりここは非日常の空間です。
配役は次の通りです。
ジュリエットの小野絢子はやはりこの役にぴったり合っていました。特にこの作品はバレエ作品の中でも非常に演劇的要素が強く、「踊る」というより「演じる」という場面も多くあります。最初に登場したときは本当に「女の子」だったジュリエットが舞踏会でロメオ(福岡雄大)に出会ってみるみるうちに変化していく様が見事。
第2幕でジュリエットが街を出なければならないロメオと別れを惜しんだ後、彼が出て行ってしまったとき、彼女の全身から寂寥感と心細さが立ち上ります。
そして、一番印象に残ったのは最終幕…ロメオが仮死状態のジュリエットを抱いて踊る場面、多くの版がある中でこのパ・ド・ドゥがあるのは今回上演されたマクミラン版だけだそうですが、何とも言えないなまめかしさと絶望感が漂い、悲劇的な幕切れをより強く予感させました。
この「ロメオとジュリエット」から10曲を抜き出してピアノ作品にした「ロメオとジュリエットからの10の小品」(プロコフィエフ本人の編曲です)があって、コンサートでよく演奏していたのですが、この日、久しぶりにバレエを観て、またこの曲を弾いてみたくなりました…きっと新たな発見がたくさんあることと思います。しかし、パーヴェル(ネルセシアン)が一昨年の日本公演であまり素晴らしく弾いてしまったので、しばらく私は弾けないですね…
先日、YouTubeで配信された「World Ballet Day」の新国立劇場編で小野絢子と福岡雄大の「ロメオとジュリエット」のリハーサル風景が入っています。手の動き一つ一つに至るまで細かいところまでチェックしながらリハーサルを繰り返しています。
新国立劇場バレエ団World Ballet Day 2019 LIVE
新国立劇場の他のバレエ作品も観てみたくなりました…今シーズンのラインナップの中では「マノン」が観たいのだけど、2月の終わりから3月初めにかけてなのです。教室の発表会を目前に控えているのでこの時期は無理そうですが、今後もぜひまたここに観に来たいと思っています。