ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ビバ!アルゼンチン!

 今年の発表会の第3部(私の演奏)は「ビバ!アルゼンチン!」と題して、遠く南米アルゼンチンで生まれた曲をお届けいたします。

 カルロス・グアスタヴィーノ(1912~2000)の「サンタ・フェの乙女たち」とアルベルト・ヒナステラ(1916~1983)の「3つのアルゼンチン舞曲」です。

 今年は私にとって重要な節目の年でもありますので、何か今まで弾いたことのないものに取り組んでみたいと思ったのがきっかけでした。

 

 ヒナステラの曲に出会ったのは、10数年前、教室の大人の生徒さんが持ってきた「ラテンアメリカピアノ曲集」という本でした。彼女はたまたま買ったこの本についていたCDの曲にハマり、この本だけではなく次々とラテンアメリカピアノ曲をレッスンに持ってきました。

 それから1年後、彼女は発表会でヒナステラの難曲「マランボ」に取り組みました。私の方も初めて教えるので、必死で勉強したのを覚えています。そのとき西洋音楽とは異なる独特の和音に私も強く惹かれ、いつかこの人の曲を弾いてみたいと思っていました。

 

 グアスタヴィーノの「サンタ・フェの乙女たち」は、2020年の発表会で2台ピアノ版を演奏しました。そのときにこの曲がとても気に入って、また演奏したいと思っていたのですが、今年に入ってピアノソロ版があることがわかって、今回プログラムに入れることにしました。

 

 どちらの曲もラテン系の爆発的なエネルギーが感じられる「濃い」テイストの作品です。私にとっても初めての挑戦なのですが、今まで弾いてきたものとは違うキャラクターに「こういう曲もあったのか」と目から鱗の毎日です。

 

 ラテンアメリカの作品を聴くのが初めてという方も多いことと思います。

 「どんな曲なんだろう…」と好奇心一杯で聴いて頂ければ、嬉しく思います。

 発表会についての詳細はこちらからご覧下さい。 www17.plala.or.jp/nakazoey/happyoukai2024.html

 

教室だより2024年春の号、只今作成中

 明日、2月26日からいよいよ教室の発表会(3月17日、きたこぶしホール、詳細はこちらからwww17.plala.or.jp/nakazoey/happyoukai2024.html)のプログラムの配布が始まります。プログラムと一緒にお渡しする教室だよりを作成中です。

 昨年5月に新型コロナが5類になって、会場からのコロナ対策の要請(来場者の連絡先の保存など)はなくなりましたが、まだ感染者は出ているので、引き続き消毒、換気などの対策は必要です。制限が亡くなった分、何を用意しどこまで対策をするべきかは非常に難しくなってきました。

 

 明日から本番3週前のレッスンに入ります。一人一人本番に向けて何が必要か、よく考えてレッスンを進めていきたいと考えています。

 

学校の伴奏

 うちの教室は発表会が毎年3月なので、何人かの生徒さんは卒業式などで歌う歌の伴奏を発表会の曲と並行して準備しています。自分のレベルより上の曲に挑戦している生徒さんにとって同じ時期にもう1曲を練習するのはやはりかなり大変です。

 

 今年伴奏が決まった生徒さんは私のところにレッスンに来るようになって5年目、発表会で長年憧れてきた曲を弾けることが決まって、とても喜んで意欲的に練習を始めていました。そんなとき発表会の2日後の卒業式での伴奏が決まったのです。

 早速楽譜を見せてもらったのですが、これが発表会の曲を上回るレベル…冬休みだから時間があるだろうと思ったのですが、正月休みが終わっても譜読みはあまり進まず、冬休みが終わるころになると焦りが見え始め、心が折れそうになっているのがわかりました。当然発表会の曲の方の練習も進んでいません。

 

 「決まったからにはどちらもきちんと弾きたい」

 

 と彼女は私に言いました。しかしどうしたら良いかわからないと。

 

 このようなときの心のケアはとても大切です。私も非常に悩みましたが、思い切って彼女に言いました。

 

 「こうなったら目の前のものから一つずつ片付けていこう。焦っていても何も変わらない。まず皆との合わせが迫っている伴奏の方を先に仕上げよう」

 

 私はその週は伴奏だけに集中するように彼女に言いました。

 これは大きな賭けでした。その週で伴奏が先が見えるところまでできなければ、発表会の曲の練習に大きな影響が出ます。ドキドキしながら次のレッスンを待ちました。

 

 そして翌週…

 

 何とか皆と合わせられるところまで仕上げてきたので、その週からは発表会の曲も一緒に練習するように言いました。伴奏が何とかできたことで彼女もホッとした気持ちになったようです。

 

 その翌週からは発表会の曲と学校の伴奏を並行してレッスンを進めることができるようになりました。彼女にとってはとても苦しい冬休みから3学期になったようですが、この体験はとても実り多いものだったと思います。将来大人になって一度にたくさんのことをこなさなければならなくなったときに、彼女は必ずこのときのことを思い出すでしょう。

 この先、来月の本番がどちらも良いものになるように仕上げをしていきたいと思っています。

 

 

3月の予定

 2月に入り、日の光が強くなってきました。外はまだ寒いのに日の光は明らかに1月と違っています。春が近いとただそれだけでわくわくするものです。

 

 卒業、そして入学や就職の準備と、移動も多い3月ですので、いつもより少し早く3月の予定をお知らせいたします。

 お休みは、

   18日(月)から24日(日)まで

   31日(日)

です。

 3日(日)と10日(日)は今年度お休みした分の振替レッスンがまだ済んでいない発表会出演者の方を対象に、発表会前の強化レッスンを予定しています(対象の生徒さんにはすでにお知らせ済み。ご希望の方は必ず時間の予約をお願いいたします)。3日は藤野教室、10日は白石教室で開講いたしますが、通常受講している教室以外での受講も可能です。

 

 発表会の事務作業も順調に進んでいます。プログラムを印刷に出してしまいましたので、次はプログラムと一緒にお渡しするお手紙の作成です。今月26日(月)からプログラムをお渡しする予定ですので、前日25日までに完成させる予定です。

 

 何かと頭が忙しい毎日ですが、事務作業にミスのないよう最新の注意を払っていきます。

 

発表会チラシ(WEB用)完成しました。

 あと1か月に迫った教室の発表会(3月17日)のチラシ(WEB用)が完成しました。プログラム(現在印刷中)の表紙と同じデザインのカラー版になります。

 こんな感じです。早速教室HPの発表会のページやSNS等にアップします。

 

 2月が半分まで過ぎてしまいました。今月の時間の流れは今までの倍くらい速い気がします。パチッとまばたきをしたら次はもう当日になっている気がしますが、一日一日を悔いのないよう準備を進めていきたいと考えています。

 

 初めて発表会に参加するお子様はそろそろ舞台への出方やお辞儀の練習を始めます。わからないことがありましたら、どんなことでもかまいませんのでいつでもお問合せ下さい。

 本番に向けて充実したレッスンができるよう、頑張っていきたいと思います。

発表会に向けて2024-3

 発表会まであと1か月余りとなりました。教室では、只今発表会のプログラムを作成中です。準備の様子を思い浮かべながら、「ここはこうしてみよう」「ああした方が良いだろうか?」と考えながら一人一人入力していきます。

 今日は全員の入力が終わって、校正に入りました。これが終わるといよいよ印刷に出すことになります。

 

 自分の演奏(第3部)では、今年は新しい挑戦をする予定です。できるかどうか多少不安はありますが、節目の年なのでできるだけ頑張ってみたいと思っています。

毎年、出演者の生徒さんの発表会にかける情熱が私に元気を与えてくれます。いつもそれに応えられるようにしておきたいものです。

 

 発表会のプログラムは、

   2月26日(月)

からお知らせのお手紙と一緒にお渡しいたします。

若い音楽家のためのコンクール「くるみ割り人形」

 最近は、日本に居ながら世界各国のテレビ番組をインターネットで観ることができます。私が楽しみに観ているロシアの番組で「くるみ割り人形」という名前の若い音楽家のためのコンクールがあります。ピアノ、弦楽器、管打楽器の3つの部門で2回の予選を勝ち抜いた子供たちがオーケストラと協奏曲を協演します。自分の演奏の勉強にもなるし、この子が自分のところにレッスンに来たらどう教えるだろうか、と考えることによって教える方の勉強にもなるし、その上ロシア語のヒヤリングも鍛えることができるお得な番組なのです。

 毎年このコンクールは11月下旬から12月にかけて行われます。昨年行われたコンクールもYouTubeで配信され、1次予選から全部観ていました。2015年のチャイコフスキーコンクールのピアノ部門の覇者で、札幌のPMFで演奏したこともあるドミートリー・マスレーエフが審査員をつとめていました。

 

 今朝、過去のこのコンクールの動画が流れて来たので観ていると、昨年のチャイコフスキーコンクールの覇者、セルゲイ・ダヴィドチェンコの12才のときの演奏が出てきました。実に堂々とプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の第1楽章を演奏し、1位になりました(この動画の最初の方です)


www.youtube.com

 

 昨年のチャイコフスキーコンクールでは彼の演奏のスケールの大きさ、そして何よりもタッチの柔らかさに驚嘆し、この人を応援しようと決めました。ロシアのウクライナ侵攻によって西側諸国の参加者がごくわずかだったり(日本人の参加者も2人だけでした)といろいろあった昨年のコンクールですが、この結果は妥当なものだったと私は思います。

 こちらは昨年のチャイコフスキーコンクールの2次予選でのダヴィドチェンコ。


www.youtube.com

 

 もしウクライナ侵攻が起こっていなければ、この人ももっと世界各国で活躍していたことでしょう(確か日本にもまだ来ていないはずです)。今どうしているのかはあまり情報が入って来ないのですが、まだ若いので、これから活躍の場が広がっていくことを心から願っています。

 

 有史以来、常に芸術は政治に翻弄されてきたのでしょう。若い音楽家が存分に力を発揮し、活躍できる平和な世の中が一日も早く実現して欲しいと願う毎日です。