ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

あさきゆめみし(NHK総合テレビ)

 レッスンが早く終わった木曜日、テレビをつけたらたまたまやっていたのがきっかけでした…
 
 日頃ほとんどテレビを見る暇はなく、必ず見るものといったらロシア語ニュースと夜10時のWorld Waveくらい(しかも放送には帰りが間に合わず録画です)、特に今年はすさまじく忙しかったので、「あまちゃん」も「半沢直樹」も全く知りませんでした。(生徒さんに仙人扱いされました…)
 たまたま見たのは4回目くらいだったのですが、なぜか惹きこまれ、毎週録画して見るようになりました。連続ドラマの時代劇を見たのは多分10年ぶりくらいです。

 ご存じの方も多いと思いますが、内容は元禄時代の江戸の八百屋の娘お七の物語、今まで私が知っていたお七は恋する人に会いたい一心で家に火をつけ、火あぶりの刑に処せられるというもののでしたが、このドラマでは火つけの疑いをかけられた恋人の罪をかぶって最後は火あぶりにされるという筋になっていて、「愛するひとのために命を捨てられるか」がテーマになっているようでした(番組HPより)。

 どちらかというと時代劇は好きでなかったのに、何に惹かれたかといえば、お七役の前田敦子のすさまじいまでの役への没入だったと思います。特に最後の3回、死を覚悟して自分が火つけをしたと奉行所に申し出てからは、彼女の表情がどんどん透き通っていったように感じました。
 最終回(今日)は処刑の前のすべてを悟りきった表情が印象に残りました。これから自分が生きながら焼かれるというときに彼女の表情はどこまでも柔和で、何か既にこの世のものではないようにさえ思えました。

 役者の方はどのように役に入っていくのだろう、ということにはとても興味があります。私は芝居に関しては全くの素人で専門的なことは何もわからないのですが、今回このドラマを見て、さらに強い興味が湧きました。
 ピアニストが一つの作品に取り組むときも、様々な方向からアプローチし、作品に入り込んで行きます。ただ 私の場合は入り込み過ぎて崩壊してしまうこともあり、どこかに冷静な部分を残しておかなければならないというアドヴァイスを受けたことがあります。
 役者の場合はどうなのでしょうか。役への取り組み方は人によっても違うのかも知れません。またオペラやバレエにも通じるものがあるのでしょう。