ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

受験とピアノ

 習い事を続けていく上で大きな壁になるのはやはり受験でしょう。このことについては多くの習い事の先生方が悩むところだと思います。中学受験をする人は小6、それ以外の人は大半が中3で人生初の大きな試練がやってきます。この時期に勉強と習い事をどう両立させるかはどのお子さんにとっても非常に厳しいことですね。残念ながらうちの教室でもこの時期にピアノのレッスンを断念する人が多いですし、再開組の大人の生徒さんもこの時期にレッスンをやめたり長期でお休みしたという人は非常に多いです。中学校に入ると生活がガラリと変わるお子さんは多いと思いますが、中1、中2では余裕でレッスンを続けられた人も、中3になるとどんどん時間が足りなくなっていく現実が迫ってくるようです。
 現在高1のうちの姪は小6で中学受験をしましたが、その前の時期のスケジュールは本当に分刻みで、それまで熱心に続けていたバレエをやめるところまではいかなかったようですが、大幅に減らすことになってしまいました。受験終了後すぐレッスンに復帰して今も続けていますが、このときの遅れを取り戻すのはとても大変だったようです。
 私自身もやはり中学受験をしましたが、振り返ってみるとピアノの練習ができないほど追いつめられた記憶はあまりありません。根っからののんびり屋だったのと、あの頃は今とは時代が違ったのでしょう。子供だったので母が上手に時間管理をしてくれたこともあったと思います。

 うちの教室で今年の4月から中3になった人は3人いたのですが、そのうち2人は5月いっぱいでレッスンを中断しました。6月初めに修学旅行もあり、そちらの準備にも時間を取られてしまったようです。
 長年教えてきた私にとってはとても残念なのですが、今までピアノを続けてきて一つのことに向かって頑張る力がついたと思うので、まずそれを生かして今必要なことを頑張るように、と言って見送っています。レッスンに来られなくても音楽が彼らの身近にあってくれれば、と願っています。

 昨年の中3(現高1)の2人は受験を終えて先月からレッスンに復帰しました。2人とも第1志望への合格を果たし、大きな試練を越えて雰囲気もぐっと大人びてきました。小さいときからみているので、「いつの間にこんなに大人になっちゃったの?」という感じです。
 「ピアノだけは続けたい」と思って復帰してきてくれるのは本当に嬉しいことです。
 2人のうちの1人は美術、デザイン関係の進路を考えているそうで、来年の発表会では自分でデザインした衣装で出演したいそうです。

 秋になったらまた会場取りを頑張らなくては!