ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

自分の演奏について

 先日の発表会で出演者の誰よりも緊張していたのは多分私だったと思います。
 
 昨年 パーヴェル・ネルセシアンのレッスンを受けるようになって、自分の中のピアノに向かう意識が大きく変わりました。
 何度か書いたとおり 彼のレッスンは非常に厳しかったし、レッスン以外でもいろいろ彼と話をしたことは、私が今まで気がつかなかったことを徹底的に洗い出し、気づかせてくれました。
 これは 私にとってとても有難いことだったのですが、その結果は苦しいものでした。

 演奏上の今まで気がつかなかったことに次々気がつくようになって、私は自分の出している音が非常に雑なものに思え、練習していても何もかも嫌になるほど落ち込み、冬の間中非常に苦しい思いをしました。

 パーヴェルと出会ってから苦しいことばっかり…

 そう思ってため息をつくことも何度もありましたが、多分これを乗り越えたら自分が一段進歩できるのだろうと信じて前へ進むしなく、今までにないほど厳しく自分自身を追い込むことになりました。
 この冬の自分の練習にかける時間は例年と比べ物にならないほど多かったのです。いつもなら次の日に備えてゆっくり過ごす発表会前夜も遅くまで練習していました。

 私にとって先日の発表会はこの状態で自分がどこまで弾けるか試す場所だったのです。
 第2部が終わるまでは生徒さんのことで頭が一杯で自分の演奏のことは全く頭になかったのですが、第2部終了後の15分で一気にテンションを上げ、第3部に臨みました。
 結果がどうだったかは自分では全くわからなかったのですが、何人かの方に「音が非常に変わって柔らかさが増した」と言われたときは救われる思いでした。
 いつもの何倍も消耗し、終わった後3日間は全く使い物にならないほど疲弊しきってしまったのですが、昨日の晩くらいから徐々に回復し、次の舞台である2台ピアノの「シンデレラ」の練習に入っています。