ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

パーヴェル・ネルセシアン ピアノリサイタル 大切なのは成長し続けること

 まさに期待通り、というよりそれ以上の演奏だったと思います。
 多彩な音色は更に種類が増え、始めのショパンノクターンからアンコールのチャイコフスキーまで聴く人をいろいろな世界へ誘ってくれ、まさにひき込まれました。

 前に彼の演奏を聴いたことがある人からは「前よりも良くなっている」という声を多く聞きました。実は私もそう感じました。若いときに華やかに売り出す人はたくさんいても、40代の半ばを過ぎ 世界中での演奏と後進の指導に忙しい毎日を送りながら なおかつ自分自身も向上し続けるのは並大抵のことではありません。彼の演奏はそれがきちんとできていることを証明していました。
 懇親会で私が「幸せなことに今年あなたの演奏を聴くのは今日が3回目」と言ったら、彼は「今日が一番良いでしょ?」と言いました。その中に 常に成長しよう、昨日よりも今日の演奏が良くなるようにと精進し続ける彼の心髄を見た思いがしました。

 終演後の懇親会では彼の隣にすわらせて頂き、いろいろ話ができて楽しかった。もちろん5月の東京や9月のモスクワでの話も出ました。
 昨日の演奏会では彼は緊張していたそうです。緊張を集中力とエネルギーに変える力が凄いのだと思いました。

 実は 彼は私と同い年です。最近の私は あまりそう思いたくないのだけど正直「やっぱり年かな…」と感じることもありました。そんなときに 同じ年で常に成長し続けようとどこまでも前向きに努力する人と知り合えたのは本当に幸せなことだと思いました。100人の味方を得たような気持ちで家路につきました。

 ところで風邪は…何とかギリギリのところで回復しました。彼は25日苫小牧、26日札幌、27日釧路、28日帯広と移動しながら4日連続の本番です。こんなときに彼に風邪をうつしたら大変だと思っていたのでホッとしました…