ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

競争心

 一つのことをやり遂げるためには不可欠と思われますが、ピアノ指導者にとってときには難しい問題にもなります。

 教室の生徒さんで学校や幼稚園のお友達からの紹介で入会してくる人もいます。そんな場合はたいてい生徒さん同志で競争心が生まれます。「○○ちゃんにだけは負けたくない!」と口に出す人もいますから、これはかなり強力…
 
 この気持ちがプラスに働いてお互い切磋琢磨しながら続けて行けると良いのですが、残念ながらマイナスになってしまうこともあります。
 一緒に入ってきたのに力にかなり差がついてしまったり、後から入ってきたお友達に追い越されてしまったときです。いつも私は「○△ちゃんはどこまで進んだ?」という問いにはあまり答えないことにしているのですが、特にみすまい幼稚園教室は 預かり保育で練習することもあるようで、(ときどき先程出した曲をさらっているのが聞こえます)誰がどこまで進んだかは知れ渡っていて、しかも 子供たちは皆そのことにとても敏感です。「まず 自分の今やっている曲をきちんとやっていくことで力がつくのだから」と言っても、子供心に「自分はだめだ」という大きな挫折感を生んでしまうのかも知れません。

 このあたりは非常に難しい問題ですね。教材などの面からももっと考えることがたくさんありそうです。

 娘にバレエを習わせている妹の話によると 集団でレッスンしたり発表会に出たりするバレエはもっと大変だそうです。姪(私にとっては)は今のところ頑張って続けているようですが、普段のレッスンについていけなくなったり、発表会で思うような役につけなかったりして辞めてしまう生徒さんもいるそうです。
 ピアノでもバレエでも レッスンがうまくいかなくなったときにこそ、指導者がしっかり生徒さんに向き合っていかなければならない。妹の話を聞いていて痛切に感じました。