ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

復帰コンサートを終えて

 3月に右手を怪我したあとの初めてのコンサートは9月19日、その後短期間に3つの本番が続き、やっと一段落したところです。
 6か月前タオルも絞れず、箸を使うのも大変だった右手は舞台の上で無事に動いてくれました。
 1回目の函館の国立音楽大学北海道同調会のときは本当にもうガクガクで、新人のときでもあんなに緊張しなかったと思ったほどでした。札幌に帰って来たあとも疲れ方がひどく、ロシア語が全く頭に入らなくなり、ついに27日の「ロシア語詩のつどい」では詩を暗記して読むことができませんでした。その後北海道同調会の会長に「非常にクオリティの高いものだった」と言って頂いて、やっと救われた思いでした。
 しかし、大きな山を越えた2回目と3回目は少しずつ以前の状態に近くなってきました。
 靭帯の傷は治っても心の傷はなかなか治らないとずっと思っていたのですが、これはやはり舞台の上で治していくものなのでしょう。
 
 これから少しずつ次のリサイタルのプログラムを考えていきます。
 怪我がなかったらもっと早く考えることができていたと思います。しかしラヴェルの「左手のための協奏曲」は怪我がなかったらやっていなかったと思うし、その他左手のテクニック、音楽的役割を見直す良い機会になりました。
 来年の教室の発表会(3月21日)では私もまた演奏しますが、そのときに1曲左手のための曲を入れようと考えています。私自身左手だけでこんなに豊かな世界が広がるピアノ作品がたくさんあるとは思ってもいませんでした。そのことをぜひ皆さんに知って頂きたいと思うのです。
 
 きちんとプログラムが決まりましたらまたこのブログでもお知らせいたします。