ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

三越火災

 今日はお休みだったので、4月から入れて頂いたアレンスキー協会のコンサートに行ったあと、大通方面へ向かいました。
 コンサートのあと少々疲れて珍しく甘いものが食べたかったので、札幌三越の6階のカフェで一休みして久しぶりにケーキを注文…これで元気を取り戻し、何か見ようかと思っていた矢先…

 いきなり、けたたましい音が…

 まわりの人があまり慌てていなかったので、初めは何かの間違いかと思ったのですが、ほどなく防災センターからの放送で地下1階で火災が発生したので緊急避難せよとの指示が出ました。

 とっさに私の視線を釘づけにしたのは、すぐそばにあった「救助袋」…救助袋ってハシゴだろうか…それとも滑り台…ここは6階だし、高所恐怖症の私にはどちらもかなりキツイ…
 ビビッているとすぐに店員さんが来て、防火扉の向こうの階段から避難すること、エレベーターとエスカレーターは使用しないようにと言われました。カフェにいた人たちは皆会計もせず、店員さんの誘導で階段に一目散…
 階段からと言われてとりあえず少しホッとしたのですが、脳裡に浮かんだのは3年前、モスクワに行ったとき、宿泊先のコスモスホテルの前で見た火事でした。ものすごく火と煙が上がっていて息苦しく、ハンカチを口に当ててその場から逃げたのを覚えています。
 あの時は外にいたのですが、今日は建物の中、しかも6階…避難しながら私はとっさにバッグからハンカチを出しました。幸い、トイレに行ったあとだったので、少し濡れていました。変なにおいがしてきたらこれを口に当てれば良い…
 
 そう考えながら、火災報知器が鳴り響く中、前の人について黙々と階段を下りました。ほどなく後ろでは防火扉が次々と閉められました。6階から1階まで歩いて降りたのですが、10階からかと思えるほど長く感じました。
 ようやく1階にたどり着くと、非常口の緑の表示が点滅していました。
 この誘導灯に導かれて裏口からようやく外に出ました。

 外には消防車と救急車が次々に到着していました。報道関係者もつめかけ、辺りは騒然となっていました。他の店に行こうにも、しばらく茫然として動けず、南1条通りをはさんだ向かい側で立ちすくんでこの光景を見ていました。

 幸い、火は10分ほどで消し止められたそうで、大事には至らなかったそうです。店員さんも皆避難していました。私自身も危険な目には合わずに済んだのですが、やはり消耗し、帰って来たらぐったりです。あの火災報知器の音はしばらく耳に残りそうです…