ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

新世代の日本男児

 フィギュアスケートは私の冬の楽しみの一つです。舞台に立つ仕事をしていると、舞台上で自分をいかに表現するかということには強い関心を持つようになります。趣味と実益を兼ねたクラシックバレエのレッスンもずっと続けていますが、フィギュアスケートの各選手の演技を見ることで 舞台上の表現面において新しい発見をすることが数多くあります。

 私は高橋大輔選手のファンなのですが、今回の四大陸選手権は特に素晴しかったですね。史上最高点の優勝にふさわしい演技だった。4回転ジャンプを2回成功させたことだけではなく、表現力においても群を抜いていたと思います。
 トリノオリンピックまではあまり注目していませんでした。オリンピックで8位だったときも「よくやったのではないか」と思っていましたから、正直 世界でメダルを取れる選手になるとは想像していなかったのです。
 しかし オリンピックの次のシーズン フリースケーティングの「オペラ座の怪人」を見て惹きこまれました。難しい技術を失敗しない精神力がついてきたと同時に、音楽の世界を表現する力が備わってきたと感じました。長い間 自身を表現することにおいて海外の選手に遅れをとっていると言われ続けてきた日本人選手に、やっと表現力において外国選手に劣らない人が出てきたと思ったのです。
 今シーズンのショートプログラムのヒップホップも好きです。(残念ながら地上放送では今回中継がありませんでした)踊るということも かつて日本の男性の多くが苦手としていたことだと思います。
 
 踊って表現ができる新世代の日本男児は、まだまだいろいろな世界を私たちに見せてくれる可能性を秘めていると思います。1ヵ月後の世界選手権、更に来シーズンに向けて飛躍し続けて欲しいと願っています。