ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

ロシアだより2018 第4回(全6回)

 前回の続き、

  10月29日(月)
 今回タンボフで泊まったホテル「チアトラーリナヤ」はとても快適でした。特に朝食は種類が豊富で、黒パンがとてもおいしかったです。ただ、ロシアに来ると必ずケフィール(発酵させた乳飲料)を飲むのだけど、この日は朝遅かったのですでになかった…

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 この日は12時のチェックアウトまで部屋でゆっくり過ごしました。イリーナがタンボフ市内ツアーを勧めてくれたのだけど、この日夜行列車でモスクワへ移動するため断りました。ここにもう一晩泊まるのなら行ったのですが、とても残念でした。彼女は私の娘のような年齢ですから、同じ体力というわけにはいきません。

 12時にチェックアウトした後、ホテルに荷物を預けて前日イリーナに教えてもらったところを自分で回ってみました。
 まず、「文化と休息の公園」、

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 穏やかな晩秋の景色です…
 
 その隣にスパソ・プレオブラジェンスキー聖堂、そして第2次世界大戦の戦没者の慰霊碑、

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 たとえこのときは敵であったとしても、国のために命を捧げた人々を悼む気持ちが湧いてきます。
 
 ツナ川にかかる橋、
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 お昼を食べたショッピングセンターの前にあった「アイラブ タンボフ」のかわいいモニュメント、

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 ラフマニノフ記念タンボフ音楽学校、ラフマニノフがここに教えに来ていたことが記されています。ここは「セルゲイ・ラフマニノフ通り」

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 そして、赤色テロの時代に凄惨な拷問、処刑が行われていたカザン男子修道院

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 最後に、タンボフのお買い物天国、コムナーリナヤ通り、

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 何か買いたくても、夜またあの荷物を持って鉄道に乗ると思うと何も買えません…

 タンボフ一番の写真スポット、

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 気温は9度、エネルギーを使い果たしてホテルヘ…カフェでお茶を飲みながらイリーナが迎えに来てくれるのを待ちました。
 夕方、音楽学校のラフマニノフホールでパーヴェル・クーシニルという若いピアニストのコンサートに一緒に行きました。プログラムはバッハのパルティータ全曲、舞曲のリズム感が素晴らしく、惹き込まれました。日本人はどうしてもダンスの下地がないので、難しくなってしまう古典舞曲、特に3番と6番が印象に残りました。

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 コンサートが終わって、イリーナと一緒にホテルに戻りました。彼女はまだ仕事が残っているそうで、職場へ戻るそうです。3日間お世話になりっぱなしだった彼女にたくさんのお礼と別れを告げて、一人タクシーで駅に向かいました。
 深夜のタンボフ駅…私は最初プラットホームで列車を待とうと思ったのですが、さすがに寒さと怖さで無理で、駅舎の中へ逃げ込みました。金属探知機はなかったのですが、お巡りさんが3人で見張っていました。
 暗くて汚いという書き込みがネットにあったのですが、きれいに改装されてLEDの明るい照明がついていました。

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 私達の9番列車「サラトフ号」は23:04発、7:22モスクワ、パヴェレツ駅到着です。
ロシアの列車は1号車が前か後ろかというのは放送を聞かないとわかりません。列車到着の前に3回、列車番号、行き先、到着番線、停車時間、そして列車の編成を知らせる放送が入ります。これでモスクワ方面が1号車ということがわかったので、5分前にホームへ出て、我が18号車が止まるあたりでスタンバイしていたのですが…
 列車の方向を間違えていた…
私は慌ててトランクを引きずって列車の後方へ…停車時間はわずか5分、ホームから列車の乗り口までトランクを持ち上げることはとても無理で、私は大声を上げました。

「パマギーチェ、パジャールスタ(誰か手伝って)!」

 前後にいたオジサン2人にトランクを上げてもらって(本当にいろいろな人に親切にしてもらいました)、一つ手前の17号車からやっとのことで列車に乗り込みました。
18号車の車掌さんは私が乗り遅れたと思ったらしい。このため、パスポートチェックは17号車と18号車の両方で入りました。
 大好きになったタンボフの街…別れを惜しむ余裕もありませんでした。

 この夜行列車の一人旅はこの旅行で最も緊張するシチュエーション、朝まで列車で過ごすので、知らないロシア人(日本人でもだが)と一緒の部屋で眠ることはとても無理だと思い、ここは思い切って一等車を予約しました。成田、モスクワ間が特典航空券で無料なので、この旅行でここが一番高かった。多分、日本の豪華列車と同じくらいだろうと思われます。
 トランクを引きずってやっとのことで18号車にたどり着き、部屋に案内されました。1番コンパートメント、隣が車掌室なので、何かあったとき助けを求めやすいと思いました。
なるほど立派です…

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 続きは次回…