ネルセシアン氏が無事に日本に入ってきて、いよいよ今日22日の瑞穂公演(岐阜県)からツアーが始まります。
ここでは公演にいらして下さる皆様がより一層楽しめるようにこの公演の聴きどころを(私の主観ですが)書いていきたいと思います。
今日は最初の瑞穂公演のプログラムです。
最初に演奏されるのはシューマンの「子供の情景」、この曲を書いていた頃のシューマンは後に妻となるクララと婚約中で、幸せの絶頂にありました。自らの中にある子供の心を引き出すように30曲ほどを作り、その中から13曲を選んだのがこの作品です。
私はネルセシアン氏の演奏を8月のカワイ,ピアノマスタークラス」の講師演奏で聴きました。
この世のものとは思えない柔らかい音で、遠くなってしまった子供時代を回想するように一曲一曲物語を紡いでいて、聴いていてとても優しい気持ちになりました。
次にショパンの「バラード」第3番と第4番です。
「バラード」とは「物語」、ショパンはバラードを4曲書いていますが、4曲それぞれが物語になっていると感じます。
22日の瑞穂公演、24日の岐阜公演で演奏されるのはこの中の第3番と第4番です。帯広公演、札幌公演でも第3番が演奏されます。
第3番はポーランドの詩人、ミツケヴィチの「水の精」を題材にしていると言われています。これについては諸説あるようですが、曲のあちこちに登場する流暢な16分音符は水の流れを思わせます。4曲の中で唯一長調で曲を結び、明るい締めくくりになっています。
対する第4番は4曲の中で最も規模が大きく、変化に富んださまざまな場面が登場します。夢見るような優しいフレーズで始まる冒頭から、奈落を思わせる悲劇的な終結部まで聴く者を一気に惹き込んでいく魅力にあふれた傑作と言えるでしょう。
レスピーギのピアノ曲はあまり馴染みのないものかも知れません。実際私自身もほとんど知らなかったのですが、このツアーの選曲をしていたときにネルセシアン氏自身が「素晴らしい音楽」と言ってプログラムに入れることを強く希望しました。
ちょうど2024年12月にモスクワで開かれたネルセシアン氏のリサイタルの動画がYouTubeに上がって、その中にこの作品が入っていました。
6曲の小品からなるこの作品は一つ一つが輝きを放つ宝石箱のように感じました。
そして最後にラフマニノフの「楽興の時」、すぐれたピアニストでもあったラフマニノフの魅力がいかんなく発揮されている傑作です。
この作品も6曲からなるのですが、題名はなく、ただ速度と表情と調性をあらわす言葉が書いてあるのみです。これは聴く人がそれぞれ曲からいろいろなことを感じ取っていくものなのだろうと私は考えます。
悲しみに満ちた場面、荒れ狂う場面、誇らしげに勝利を歌い上げる場面、と実にいろいろな面を見せながら曲はやがてクライマックスへと向かって行きます。
次回の聴きどころは、岐阜、帯広、札幌の3公演で演奏されるバッハ「イギリス組曲第6番」、帯広、札幌公演で演奏されるラヴェルの「ラ・ヴァルス」(2台ピアノ版)について書いていきたいと思います。
