ピアノのある部屋から

ピアニスト、中添由美子がピアノのこと、教室のレッスンのこと、ロシアのこと、その他日々のいろいろを書き綴ります。

リハビリ終了

 今年5月に骨折した左足は先月末、やっとすべてのリハビリが終了しました。ギブスが取れたのが6月15日、リハビリは4ケ月半にも及びました。

 永遠に終わらないのではないかと思うほど長かった…思えばいろいろなことがありました。

 

 骨折したのは人生初めての体験でした。父が整形外科医なので父の仕事を間近で見ていたし、話もよく聞いていたのですが、骨折の療養生活がこれほど大変なものだとは思っていなかったのです。

 怪我をしたあの日から、当たり前に自分でできていたことが何もできなくなったのです。食事の支度は台所に椅子とワゴンを置いていました。お風呂は湯船に入ることはできないので、ギブスをした方の足を大きなゴミ用のビニール袋にくるんでシャワーを浴びていました。札幌の5月はまだ気温が低く、寒さがこたえました。

 一番大変だったのは夜中トイレに起きるとき…我が家は2階建てで寝室は2階、トイレは1階にありました。ベッドから這って何とか階段までたどり着き、階段をお尻をついて降り、階下では松葉杖にすがってトイレへ…築30年の我が家はバリアフリーなどではなくあちこち段差だらけ…トイレに着くまでに膨大な時間がかかり、間に合わなかったことも…

 そのとき感じたのはショックではなく、「身体が動かないということはこういうことなんだ」という諦めでした。そして「これはいつかは治るんだから良いんだ」と思おうとしていました。それでもロシアから帰国してホテルで自主隔離をしていた何人かの友人のSNS等を観て、トイレがすぐそばにあることを羨ましく思うほど私は疲弊しきっていたのです。

 

 6月15日、ギブスが取れてすぐその日からリハビリが始まりました。浅はかにもギブスが取れたらすぐに歩けるものだと思っていた私は、足の機能の回復はほんの少しずつだとわかって茫然…でも再び歩けるようになるにはとにかくリハビリをするしかないとわかって覚悟を決め、黙々と通いました。

 幸いなことに私はリハビリの担当者にとても恵まれました。足の機能の回復だけではなく、精神面でもとても支えて頂きました。骨折したのが足の指だったので、初めはつま先で立つことなど考えただけでも恐ろしかったのに、8月の中旬にはバーにつかまって少しずつ踵を上げることができるようになってきました。心のリハビリもして頂いたと思っています。

 自分で回復が実感できると、リハビリに通うのが少しずつ楽しみになってきました。

 そして10月27日、最後のリハビリの日を迎えました。6月から40回近く通ったと思います。

 教えて頂いた歩行訓練や足のマッサージは今も毎日欠かさず続けています。

 

 札幌は昨日初雪が降りました。やはり寒くなってくると折れたところはとても冷えますが、何とか暖かくして乗り切りたいと思います。