かなり日にちが過ぎてしまいましたが、今月4日に聴いた「服部麻実ソプラノリサイタル」についてはぜひ書いておきたいと思いました。
北海道教育大学(音楽文化専攻)にロシアの作品を研究している先生がいるということは以前から知っていました。ぜひリサイタルを聴いてみたいと思いながら、なかなか実現せずに時が過ぎてしまいました。
現在私は11月7日に「コンサート・コンコルデ」でメトネルの作品を演奏するために準備をしていて(前回記事参照)、メトネルの歌曲をぜひ聴いてみたいと前から思ってました。ちょうど今回ののプログラムにメトネルが入っていたので、これはぜひ聴いてみたいと、かなり前から楽しみにしていました。
当日のプログラムです。
メトネルの歌曲の詩はロシアの偉大な詩人プーシキンで、私がずっとロシア語を習っていた日本ユーラシア協会のロシア語講座で毎年開催されていた「ロシア語詩のつどい」でもよく取り上げられていたものばかりでした。「冬の夜」は確か暗唱したことがあったと思います。それだけに詩の意味がわかって、とても心に沁みました。
そして「みにくいあひるの子」、私はプロコフィエフのピアノ作品もたくさん演奏してきましたが、そのプロコフィエフにこんな万人が知っているアンデルセンの童話を元にした作品があったとは知りませんでした。しかもプロコフィエフ自身がテキストを書いているのです。この作品ではイラストレーター中村紅葉氏のイラストを映しながらの演奏でした。ロシア語やロシア作品について全く知識がない人でも、この可愛い絵を見ながら聴くと楽しめたのではないかと思います。とかく「難しい」と思われがちな作品もこういう工夫によってわかりやすいものになりますね。
どの曲もまずロシア語の発音が美しいのが印象に残り、彼女の長年にわたるたゆみない研鑽を感じさせるものであったと思います。まだロシア歌曲を演奏する人が少ない札幌で彼女は実に頼もしい存在です。
また、ミハイル・カンディンスキー氏のピアノがどの曲も見事だったことを付け加えておきます。
私は長年ロシアのピアノ曲をいろいろ弾いてきましたが、ロシアの声楽曲に対する知識が足りないことが常に気になっていました。特に現在の師匠パーヴェル・ネルセシアン氏にレッスンを受けるようになってから、レッスンの中でロシア歌曲を出されても私が答えられないことも多くありました。今回のリサイタルを聴いてロシア歌曲をもっと知りたいという思いが一層高まったので、今後できるだけ多くのロシアの声楽作品に触れていきたいと思っています。